
SOR注文は、東証やPTSなど複数の取引先を自動で比較し、より有利な価格での約定を目指す株式注文の仕組みです。ただし、「必ず安く買える」「東証より常に有利」というものではありません。対象銘柄や接続先、利用できる注文方法、手数料の扱いは証券会社によって異なるため、仕組みを理解して使い分けることが重要です。本記事では、SORの基本からPTSとの違い、東証指定との選び方、SBI証券や大和証券のサービス例、証券会社を比較するときのポイントまで、わかりやすく整理します。

この記事の目次
- SOR注文の意味と基本的な仕組み
- SOR対象銘柄と東証指定の違い
- SOR注文のメリット・デメリット
- SORとPTS取引の違い
- SBI証券・大和証券などのサービス例
- 証券会社を比較するときの確認項目
SORとは?複数の市場を自動で比較する注文システム
SORは、英語の「Smart Order Routing(スマート・オーダー・ルーティング)」を略した言葉です。株式の注文を受け付けた証券会社のシステムが、東京証券取引所などの金融商品取引所、PTS、ダークプールなどを比較し、定められたルールに基づいて注文の回送先を決めます。
簡単に表すと、次のような仕組みです。
- 買い注文では、より安い売り価格が提示されている取引先を探す
- 売り注文では、より高い買い価格が提示されている取引先を探す
- 注文数量が一つの取引先だけでは足りない場合、複数の取引先へ分割することがある
- 条件に合う取引先がなければ、東証などの優先市場へ注文を回送することがある
たとえば、ある銘柄について東証の最も安い売り注文が1,001円、PTSの売り注文が1,000円だったとします。SORがPTSへの回送を適切と判定し、価格が変わる前に約定すれば、東証だけに注文を出した場合より1株当たり1円安く買える可能性があります。
ただし、SORが比較するのは基本的に注文を受け付けた時点の気配価格や注文数量です。株価や注文状況は常に変化するため、比較した価格で必ず約定するとは限りません。
「最良価格」と「最良執行」は同じ意味ではない
SORでは価格が重要な判断材料になりますが、金融商品取引における「最良執行」は、単に最も安く買うこと、最も高く売ることだけを意味するものではありません。
金融商品取引業者は、金融商品取引法に基づいて最良執行方針等を定め、公表し、その方針に従って注文を執行します。最良の取引条件を判断する際には、価格だけでなく、手数料などのコスト、注文処理の速さ、約定する可能性などが考慮される場合があります。
証券会社によってSORの接続先や回送順位、注文の分割方法が異なるのは、それぞれが公表している最良執行方針や取引ルールが異なるためです。
SOR対象銘柄とは?すべての株で利用できるわけではない
SOR対象銘柄とは、証券会社がSORによる回送先の自動判定を行う対象として指定している銘柄です。東証に上場している株式であっても、必ずSORを利用できるわけではありません。
対象銘柄の範囲は証券会社ごとに異なりますが、一般的には、主要市場が東証である国内上場株式などが中心です。次のような商品や注文は対象外になる場合があります。
- 名古屋・福岡・札幌などの地方市場を主要市場とする銘柄
- 単元未満株
- 一部のETF、REIT、優先出資証券など
- 取引所やPTSで売買が停止されている銘柄
- 逆指値や執行条件付き注文など、SORに対応していない注文方法
- 信用取引の一部や強制決済に関する注文
同じ銘柄でも、A証券ではSOR対象、B証券では対象外となる可能性があります。注文画面に「SOR」という市場区分が表示されるかを確認するとともに、各社の対象銘柄一覧や取引ルールを確認することが大切です。
SORと東証指定はどっちを選ぶべき?
SORと東証指定のどちらが適しているかは、注文の目的によって変わります。SORは、複数の取引先を自分で比較する手間を減らし、価格改善の機会を得たい場合に利用しやすい仕組みです。一方、注文を東証の板に直接出したい場合や、東証でのみ利用できる注文条件を使いたい場合には、東証指定が適しています。
SORが選択肢になりやすい場面
- 東証とPTSなどの価格を自動で比較してほしい
- 少しでも有利な価格で約定する可能性を広げたい
- 複数市場の気配を自分で確認する手間を減らしたい
- 通常の成行注文や指値注文を利用する
東証指定が選択肢になりやすい場面
- 注文を東証の板に残したい
- 東証における注文の時間優先を意識している
- SORでは利用できない執行条件を指定したい
- 約定市場を東証に限定したい
東証指定では、原則としてPTSなどの価格は比較されません。反対にSORでは、注文が東証以外で約定したり、複数の取引先に分かれて約定したりする可能性があります。「どちらが絶対に得」という関係ではないため、価格改善の可能性と注文管理のしやすさを比較して選びましょう。
SORには便利な点がある一方、部分約定や手数料条件など、注文前に知っておきたい注意点があります。詳しい仕組みは次のページで解説します。




