
「台湾セミコンダクター」と呼ばれることの多いTSMCは、AI向け半導体需要の拡大を背景に、世界の半導体産業で重要な位置を占めています。台湾市場の株価やPER、米国市場で取引できるADR・ADS、配当金の時期、最新決算、熊本工場JASMの採用状況、さらに日本の関連銘柄や台湾をめぐる地政学リスクまで、確認したい情報は多岐にわたります。本記事では2026年9月10日時点のTSMC公式IR、台湾証券取引所、TrendForceなどの最新公開情報を基に、確定している事実と将来の見通しを明確に分けながら解説します。

この記事の主な内容
- 台湾セミコンダクターとはどのような会社か
- 2026年最新決算と月次売上
- 台湾セミコンダクター株価とPERの見方
- 2026年以降の株価見通しを考えるポイント
- 配当金はいつ、いくら受け取れるのか
- 台湾セミコンダクターADR・ADSの買い方
- TSMCが強い理由と世界ファウンドリ市場での位置
- 熊本工場JASMの稼働・採用状況
- 日本の関連銘柄とソニー・デンソー・トヨタとの関係
- 台湾をめぐる地政学リスクの影響
※本記事は2026年9月10日時点の公開情報を基に作成しています。株価、PER、為替、配当予定、求人情報などは変動します。本記事は特定の株式、ADRその他の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。
台湾セミコンダクターとは?正式にはTSMC
一般に「台湾セミコンダクター」と呼ばれている企業は、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(TSMC)です。日本語の公式サイトでは「台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー」と表記されています。
TSMCは1987年に設立され、顧客企業が設計した半導体を製造する専業ファウンドリというビジネスモデルを開拓した企業です。自社ブランドのCPUやGPUを顧客と競って販売することを事業の中心とせず、半導体設計企業から製造を受託することを軸としています。
台湾証券取引所では証券コード2330、ニューヨーク証券取引所では米国預託株式(ADS)がTSMのティッカーで取引されています。
TSMC公式資料によると、2025年には534社の顧客向けに305種類のプロセス技術を利用し、1万2,682種類の製品を製造しました。TSMCとその子会社が管理する製造施設の年間生産能力は、2025年に12インチウエハー換算で1,700万枚を超えています。
台湾セミコンダクター 決算 最新|2026年8月売上も大幅増
2026年9月10日に8月の月次売上を発表
TSMCが2026年9月10日に公表した最新の月次売上によると、2026年8月の連結売上高は約5,148.1億台湾ドルでした。
- 2026年8月売上高:約5,148.1億台湾ドル
- 前月比:10.1%増
- 前年同月比:53.3%増
- 2026年1~8月累計:約3兆3,868.7億台湾ドル
- 1~8月累計の前年同期比:39.3%増
月次売上は四半期決算より早いタイミングで事業の勢いを確認できる重要な指標です。ただし、月次売上だけでは純利益や利益率、設備投資負担までわからないため、四半期決算と合わせて確認する必要があります。
2026年第2四半期は売上1兆2,703.8億台湾ドル
2026年7月16日に発表された第2四半期決算では、連結売上高が1兆2,703.8億台湾ドル、親会社株主に帰属する純利益が7,065.6億台湾ドル、希薄化後1株利益(EPS)が27.25台湾ドルとなりました。
前年同期比では売上高が36.0%増、純利益と希薄化後EPSはいずれも77.4%増です。売上総利益率は67.7%、営業利益率は60.3%、純利益率は55.6%でした。
プロセス別のウエハー売上構成を見ると、2nmが3%、3nmが30%、5nmが33%、7nmが11%で、7nm以下の先端プロセスが合計77%を占めています。2nmが売上へ寄与し始めたことも2026年の重要な変化です。
AI・HPCが売上の大きな柱
2026年第2四半期には、HPC(高性能コンピューティング)分野が前四半期比20%増となり、TSMC全体の売上の66%を占めました。スマートフォンは22%、IoTは5%、自動車は4%でした。
AIサーバー向けGPUやアクセラレーターなどで先端プロセスへの需要が強いことが、現在の業績を理解する重要なポイントです。
台湾 セミコンダクター株価|台湾では「2330」で取引
台湾セミコンダクター株価台湾の直近確定値
台湾市場でTSMC株を確認するときの証券コードは2330です。台湾証券取引所で確認できる2026年9月9日の終値は2,465台湾ドルでした。同日は始値2,480台湾ドル、高値2,490台湾ドル、安値2,460台湾ドルです。
株価は取引日ごと、取引時間中には刻々と変動します。そのため、固定されたWeb記事に記載された価格を「リアルタイム株価」として利用するのではなく、台湾証券取引所または利用する証券会社の画面で日時とともに確認することが重要です。
台湾セミコンダクター PER|2026年9月9日は28.57倍
台湾証券取引所が公表した2026年9月9日のデータでは、TSMCの株価は2,465台湾ドル、PER(株価収益率)は28.57倍でした。同日の配当利回りとして掲載された数値は0.89%です。
PERは、一般に「株価が利益の何倍まで買われているか」を見るための指標です。しかし、PERが高ければ必ず割高、低ければ必ず割安というわけではありません。利益の成長率、将来の設備投資、景気循環、利益率、事業リスクによって妥当な水準は変わります。
TSMCの場合は特に、AI需要と先端半導体の成長期待に加え、2nmへの大型投資、海外工場のコスト、為替、地政学リスクなども一緒に確認する必要があります。
台湾セミコンダクター 株価 見通し|2026年に確認すべき材料
将来の株価を正確に予測することはできないため、「○○台湾ドルまで必ず上昇する」といった断定は適切ではありません。2026年以降の見通しを考える際は、株価予想そのものより、業績を動かす客観的な材料を確認することが重要です。
業績面で注目される材料
- 売上成長:2026年1~8月売上は前年同期比39.3%増
- AI・HPC需要:2026年第2四半期のHPC売上比率は66%
- 2nm:第2四半期からウエハー売上への寄与を開始
- 市場シェア:TrendForce集計で2026年第2四半期のファウンドリ市場シェアは72.5%
- 第3四半期会社予想:売上高446億~458億米ドル
一方、TSMCは強い需要を受けて2026年通期の設備投資計画を600億~640億米ドルへ引き上げています。設備投資は将来の成長に必要ですが、短期的には減価償却などを通じて収益性へ影響します。
また会社側は、2nmの急速な立ち上げによって2026年下期の売上総利益率が約3~4ポイント押し下げられる見込みを示しています。海外工場の立ち上げについても、初期段階では売上総利益率を2~3ポイント程度押し下げるとの見通しを説明しています。
つまり、売上成長が続くかだけでなく、その成長をどの程度の利益率で実現できるかも株価を見るうえで重要です。
台湾株の「2330」と米国市場の「TSM」は同じTSMCへの投資でも仕組みが異なります。配当額、1ADSが何株分なのか、日本からの買い方まで次ページで整理します。



