
「億り人になれば仕事を辞められる?」「日本には何人いる?」「株や仮想通貨で1億円になったら税金はいくら?」「1億円を達成した後に資産が減ることはある?」など、億り人には華やかな印象がある一方、統計・税金・資産管理を正しく理解しなければ実態を見誤ります。特に「資産1億円」と「利益1億円」、「含み益を含む時価1億円」と「税引後に使える1億円」はまったく同じではありません。本記事では2026年9月10日時点の国税庁、金融庁、財務省、野村総合研究所(NRI)、J-FLECなどの公表情報を確認し、億り人の意味、日本での割合、達成年齢、株・暗号資産の税金、資産配分、アーリーリタイアまで中立的に解説します。

この記事の目次
- 億り人とは?読み方と意味
- 日本に億り人は何人?割合を確認
- 億り人になる年齢・資産推移に平均はある?
- 億り人になるには?最短ルートの考え方
- 株で億り人になった場合の税金
- 仮想通貨で億り人になった場合の税率
- 億り人の「手取り1億円」とは?
- 億り人のポートフォリオ・銘柄・配分
- 億り人から転落する主な理由
- 1億円でアーリーリタイアできる?
- 「億り人量産年」と2017年の注意点
- 億り人に関する本を選ぶポイント
億り人とは?読み方は「おくりびと」
億り人は「おくりびと」と読みます。法律や税法で定義された正式な用語ではなく、株式、FX、暗号資産などの投資によって億単位の資産を築いた投資家を表す俗語です。
野村證券の証券用語解説でも、株式投資や暗号資産取引などによって億単位の資産を築いた投資家を指す言葉として説明されています。
ただし、「1億円以上の金融資産を持つ人」「投資元本を含めて1億円になった人」「投資だけで1億円の利益を得た人」など、使われ方には幅があります。
したがって、億り人に関する統計を見るときは「何を1億円としているのか」を必ず確認する必要があります。
億り人と「資産1億円」「利益1億円」は違う
例えば1,000万円を投資し、時価が1億円まで増えた場合、保有資産は1億円ですが、含み益は9,000万円です。
一方、すでに合計1億円の利益を確定して現金化した人なら、税金を考慮する前の実現利益が1億円という意味になります。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| 資産1億円 | 保有している資産の時価などが1億円 |
| 純金融資産1億円 | 金融資産から負債を差し引いた額が1億円 |
| 含み益1億円 | まだ売却していない値上がり益が1億円 |
| 実現利益1億円 | 売却などによって確定した利益が1億円 |
| 税引後1億円 | 税金等を支払った後も1億円が残る状態 |
億り人の「手取り」や税金を考える場合、この違いが非常に重要です。
億り人は日本に何人?公的な個人数は存在しない
「投資によって1億円以上を築いた個人が日本に何人いるか」を正確に集計した公的統計はありません。
一方、億り人に近い統計として広く利用されているのが、野村総合研究所(NRI)の「純金融資産保有額別の世帯数」です。
NRIが2025年2月に発表した2023年時点の推計では、金融資産から負債を差し引いた純金融資産が、
- 1億円以上5億円未満の「富裕層」:153.5万世帯
- 5億円以上の「超富裕層」:11.8万世帯
となっており、合計は165.3万世帯です。
日本の割合は約3%
同じNRI推計の5階層を合計すると、日本の対象世帯は約5,570.4万世帯です。
この数字を使って単純計算すると、
165.3万世帯 ÷ 5,570.4万世帯 × 100 = 約2.97%
となります。
つまりNRIの定義では、純金融資産1億円以上の世帯は約3%、およそ34世帯に1世帯という計算です。
ただし、これはそのまま「日本人の3%が億り人」という意味ではありません。
- 個人ではなく世帯単位の統計
- 投資だけで築いた資産とは限らない
- 預貯金・株式・投資信託・保険等も含む
- 負債を差し引いた純金融資産で判定
- 自宅などの実物不動産をそのまま加えた総資産ではない
という違いがあります。
億り人の平均達成年齢は何歳?公式な平均はない
億り人は正式な統計区分ではないため、「日本人が平均何歳で億り人になるか」という公式統計はありません。
一方、NRIは2023年の富裕層調査で、一般会社員などが株式相場上昇によって富裕層になった層を「いつの間にか富裕層」と表現しています。
この層では40代後半から50代が中心で、従業員持株会、確定拠出年金、NISAなどで長期間保有していた運用資産が増え、1億円を超えた例が多く確認されたとしています。
ただし、これは億り人全体の平均年齢ではありません。起業、相続、不動産、株式、暗号資産など資産形成の経路によって達成年齢は大きく異なります。
億り人になるには?「最短ルート」が保証された方法はない
億り人への確実な最短ルートは存在しません。将来の株価や為替、暗号資産価格を正確に予測できない以上、「この銘柄を買えば○年で1億円」と保証することはできません。
資産1億円までの期間を左右する主な要素は、次の4つです。
- 最初に持っている資産
- 毎月追加できる金額
- 運用期間
- 運用収益率
長期的な資産形成では、金融庁やJ-FLECも長期・積立・分散を基本的な考え方として案内しています。
毎月積み立てた場合の1億円までの参考シミュレーション
元手0円から毎月一定額を積み立て、年率5%で毎月複利運用できたと仮定すると、計算上の1億円到達時期はおおむね次のようになります。
| 毎月の積立額 | 1億円到達までの参考期間 |
|---|---|
| 10万円 | 約32年11か月 |
| 20万円 | 約22年7か月 |
| 30万円 | 約17年6か月 |
| 50万円 | 約12年2か月 |
これは毎年必ず5%で増えるという仮定を置いた数学上の試算であり、将来の投資成果を示すものではありません。税金、手数料、価格変動も考慮していません。
実際の市場ではマイナスになる年もあります。そのため「1億円まであと○年」と固定的に予測することはできません。
最短を狙って大きなレバレッジを使う方法には注意
大きなリスクを取れば短期間で資産が増える可能性はありますが、同時に大きく失う可能性も高まります。
1億円を目標にしていても、資産を失って再スタートになれば結果的に到達まで長い期間がかかります。「最短」を優先するより、致命的な損失を避けながら投資を継続できるかが重要です。
NISAは億り人を目指す資産形成にも使える?
2026年のNISAでは、対象となる上場株式・投資信託などから得た売却益や配当等が一定の条件のもとで非課税になります。
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 年間合計:最大360万円
- 非課税保有限度額:1,800万円
- うち成長投資枠:1,200万円
- 非課税保有期間:無期限
非課税保有限度額の1,800万円は取得価額で管理される枠です。NISA内の商品が値上がりして時価が1,800万円を大きく超えても、その値上がりによって枠を超過した扱いになるわけではありません。
ただし、NISAを使えば1億円になることが保証されるものではなく、NISA口座内の損失を課税口座の利益と損益通算することもできません。
「資産が1億円になった=1億円を自由に使える」ではありません。株と仮想通貨では税金の仕組みも大きく異なります。次のページでは税引後に本当に残る金額を具体例で確認します。





