
板寄せ問題|売りと買いから約定価格を求める
次の注文が寄り付き前に出されているとします。売買単位などの細かな条件は省略し、株数だけで考えます。
| 価格 | 売り注文 | 買い注文 |
|---|---|---|
| 成行 | 100株 | 100株 |
| 1,030円 | 400株 | 100株 |
| 1,020円 | 300株 | 300株 |
| 1,010円 | 200株 | 100株 |
1.成行注文を最優先で確認する
売り成行100株と買い成行100株があります。通常の板寄せ価格が成立するには、これらがすべて約定できる必要があります。
2.価格ごとの累計数量を考える
売り注文は、価格が高くなるほど、約定可能な注文が増えます。1,020円で売買するなら、売り成行100株、1,010円の売り200株、1,020円の売り300株が対象となり、合計600株です。
買い注文は、価格が低くなるほど、約定可能な注文が増えます。1,020円で売買するなら、買い成行100株、1,030円の買い100株、1,020円の買い300株が対象となり、合計500株です。
- 1,020円以下で売りたい累計数量:600株
- 1,020円以上で買いたい累計数量:500株
売りと買いの少ない側に合わせ、500株が1,020円で成立します。
3.板寄せの条件を確認する
1,020円で500株を約定させると、次のようになります。
- 売り成行100株と買い成行100株はすべて約定
- 1,020円より低い1,010円の売り200株はすべて約定
- 1,020円より高い1,030円の買い100株はすべて約定
- 1,020円の買い300株はすべて約定
- 1,020円の売り300株のうち200株が約定
約定価格にある買い注文がすべて成立するため、3つ目の条件も満たします。この例の始値は1,020円です。
高い買い指値でも1,020円で約定する
1,030円の買い指値注文は、「1,030円以下なら買う」という意味です。そのため、始値が1,020円なら1,020円で約定します。
反対に、1,010円の売り指値注文は、「1,010円以上なら売る」という意味です。始値1,020円は指定価格より有利なため、1,020円で約定します。
売り注文と買い注文の数量が合わない場合
板寄せでは、すべての指値注文が成立する必要はありません。価格面で優先する注文から約定し、約定価格と同じ価格の注文では、売りまたは買いの一方に未約定数量が残ることがあります。
例えば、買い注文が売り注文を大きく上回っている場合、買い注文の一部が約定せずに残ります。寄り付き後も有効な注文であれば、残った注文はザラバの注文板へ引き継がれます。
寄付条件付き注文のように、寄り付きでのみ有効な注文は、寄り付きで約定しなかった数量が失効します。注文条件によって寄り付き後の扱いが異なるため、発注画面の表示を確認しましょう。
午前9時になっても板寄せが終わらない理由
売り注文または買い注文が一方向へ大きく偏っていると、通常の板寄せ条件を満たす価格が見つからない場合があります。
好決算や買収発表などで買い注文が集中した場合は、買い特別気配が表示されることがあります。不祥事や大幅な下方修正などで売り注文が集中した場合は、売り特別気配が表示されることがあります。
特別気配とは
特別気配は、直前の価格から株価が一度に大きく変動することを抑え、反対注文を呼び込むための仕組みです。
東証では、特別気配の価格で売買が成立しなければ、原則として3分間隔で気配価格を更新し、売りと買いが均衡する価格へ段階的に近づけます。
午前9時を過ぎても「買特」や「売特」と表示されている銘柄は、まだ始値が決まっていません。表示されている特別気配値が、実際の始値になるとは限りません。
ストップ高・ストップ安で寄り付かないこともある
買い注文または売り注文が制限値幅まで大きく偏り、反対注文がほとんどなければ、通常の板寄せでは売買が成立しないことがあります。
取引終了時には、一定の条件を満たす場合にストップ配分が行われることがあります。ストップ配分では、成行注文を制限値段の指値注文とみなし、通常の板寄せとは異なる方法で注文を配分します。
ストップ配分が行われても、すべての注文が約定するとは限りません。東証から証券会社へ配分された後、各証券会社の社内ルールに基づいて顧客へ配分されます。
板寄せ解除とは?
証券会社の株価画面には、「板寄」「板解」「板寄せ解除」などの状態が表示されることがあります。
板寄せ解除とは、板寄せ中の状態が終了したことを示す表示です。利用者が操作して解除する制度ではありません。
板寄せによって価格が決まり、通常の連続取引へ移れる状態になると、板寄せ解除として表示される場合があります。証券会社や情報端末によって、記号は「K」「IK」「板解」など異なります。
売買停止解除とは異なる
板寄せ解除と売買停止解除は同じ意味ではありません。
- 板寄せ解除:板寄せ処理が終了した状態
- 売買停止解除:重要情報の周知などによる取引停止が解除された状態
- 売買中断解除:注文集中などによる一時的な中断が解除された状態
売買停止が解除された後、最初の価格を決めるために板寄せが行われることがあります。複数の状態表示が続けて現れる場合があるため、現在値だけでなく気配値と注文板も確認してください。
引けの板寄せとは?
引けの板寄せは、前場または後場の最後に、注文をまとめて終値を決定する処理です。
- 前引け:午前11時30分
- 大引け:午後3時30分
引け条件付き注文は、前引けまたは大引けの板寄せでのみ有効です。引けの板寄せが成立しない場合や、自分の注文まで数量が配分されなかった場合は、注文が約定せずに失効します。
大引けではクロージング・オークションを実施
東証では、終値形成の透明性を高めるため、大引けにクロージング・オークションを導入しています。
午後3時25分にザラバ取引を終了し、午後3時30分までの5分間をプレ・クロージングとします。この時間は新規注文、注文の変更・取消しを受け付けますが、売買は成立しません。
午後3時30分になると、プレ・クロージング中に集まった注文を含めて板寄せを行い、終値を決定します。
午後3時25分までの未約定注文はどうなる?
ザラバ終了時までに成立しなかった有効な注文は、原則としてプレ・クロージングへ引き継がれます。
午後3時25分には、引け条件付き注文と、ザラバ中に成立しなかった指値を引け成行へ変更する不成注文も注文板へ取り込まれます。
大引けの同価格注文には独自の優先順位がある
大引けの板寄せでは、同じ価格の注文について、すべてが単純な早い者順になるわけではありません。東証では、主に次の順番で扱います。
- 後場の始値が決まるまでに受け付けた未約定注文
- 後場の始値決定後からザラバ中に受け付けた注文
- 引け条件・不成注文と、プレ・クロージング中に受け付けた注文
第1の注文群と第3の注文群は、それぞれの区分内で同時呼値として扱われます。ザラバ中に出された第2の注文群には時間優先の原則が適用されます。
板寄せと寄り付きの違い
板寄せは価格を決める方法、寄り付きは立会時間中に最初の売買が成立した時点を表します。
午前9時に行われる板寄せで売買が成立すれば、その価格が前場の寄り付き、つまり当日の始値です。午前9時に売買が成立せず、午前9時20分に初めて板寄せが成立すれば、午前9時20分が寄り付き時刻になります。
後場も同様に、午後0時30分以降の最初の約定が後場寄り付きです。前場から注文が残っている場合も、後場始値が決まるまでの対象注文をまとめて板寄せします。
板寄せで大きく窓を開けた株は、そのまま同じ方向へ進むとは限りません。次のページでは、チャートへの影響、成行注文の注意点、初心者向けの確認手順を解説します。





