グロース市場は、将来の大きな成長が期待される企業を中心とした東京証券取引所の市場区分です。一方で、「赤字でも上場できるのはなぜか」「時価総額100億円未満の企業は上場廃止になるのか」「スタンダード市場と何が違うのか」など、制度が複雑で誤解されやすい面もあります。この記事では、2026年時点の上場基準や上場維持基準、グロース市場改革、指数、銘柄を見るポイントまで、最新の東証公表情報をもとに整理します。

グロース市場と企業成長をイメージした画像

この記事の主な内容

  • グロース市場の特徴とスタンダード市場との違い
  • 新規上場基準と上場維持基準
  • 時価総額100億円基準が始まる時期
  • 2026年のグロース市場改革と経過措置の影響
  • グロース市場指数と有望株を判断するポイント

グロース市場とは高い成長を目指す企業向けの市場

グロース市場は、2022年4月の東証市場再編によって誕生した市場区分です。旧マザーズ市場やJASDAQグロースなどに上場していた企業の一部が移行しました。

中心となるのは、新しい技術やサービスを展開し、今後の売上拡大や事業規模の成長を目指す企業です。IT、バイオ、AI、宇宙、ロボット、SaaS、インターネットサービスなど、先行投資が必要な業種も多く含まれます。

東証が示すグロース市場の考え方では、企業に高い成長可能性が期待される一方、事業実績の面では相対的にリスクが高い市場と位置付けられています。したがって、グロース市場上場という事実だけで、将来の成長や株価上昇が保証されるわけではありません。

グロース市場の企業一覧と上場会社数

2026年7月22日時点のグロース市場上場会社数は597社で、このうち外国会社は2社です。会社数は新規上場、市場区分の変更、上場廃止などによって随時変わります。

最新の企業一覧は、東証上場会社情報サービスやJPXが毎月公表する東証上場銘柄一覧で確認できます。市場区分を「グロース」に指定すると、会社名、証券コード、業種、上場日などを確認できます。

グロース市場とスタンダード市場の違い

グロース市場とスタンダード市場では、想定される企業の成長段階や新規上場時の基準が異なります。

比較項目グロース市場スタンダード市場
主な企業像高い成長可能性を持つ企業一定の事業実績と安定性を持つ企業
株主数150人以上400人以上
流通株式数1,000単位以上2,000単位以上
流通株式時価総額5億円以上10億円以上
流通株式比率25%以上25%以上
事業継続年数1年以上3年以上
利益基準形式要件として利益額基準なし最近1年間の利益額1億円以上

グロース市場は、現在の利益よりも将来の成長可能性を重視します。スタンダード市場は、一定の利益実績、純資産、流通株式の規模などをより強く求める市場です。

グロース市場の上場基準と審査の仕組み

数値だけで上場できるわけではない

グロース市場への新規上場では、株主数や流通株式などの「形式要件」に加え、企業の実態を確認する「実質審査」が行われます。

実質審査では、主に次のような点が確認されます。

  • 企業内容やリスク情報を適切に開示できるか
  • 高い成長可能性を支える事業計画があるか
  • 事業を公正かつ忠実に運営しているか
  • 内部管理体制やコーポレート・ガバナンスが整っているか
  • 反社会的勢力との関係がないか
  • 上場会社として適切な会計監査を受けているか

株主数や時価総額の条件を満たしていても、情報開示や内部管理体制に重大な問題があれば上場は認められません。

赤字上場が認められるのはなぜ?

グロース市場の新規上場基準には、スタンダード市場のような「最近1年間の利益額1億円以上」という形式要件がありません。そのため、研究開発費、広告費、人材採用費、設備投資などを先行して支出している赤字企業でも、上場が認められる場合があります。

ただし、「赤字なら何でもよい」という制度ではありません。赤字の理由、資金の使用目的、保有現金、黒字化までの見通し、事業計画の合理性などが重要です。資金流出が続く企業では、追加の増資による株式価値の希薄化や、資金不足のリスクにも注意が必要です。

現在の基準だけを見ると安心してしまいがちですが、グロース市場では2030年から大きな制度変更が予定されています。100億円基準の正しい開始時期と、2026年に企業へ求められている対応を次のページで確認しましょう。