手形とは?仕組み・手形割引・不渡り・60日ルール・2027年の廃止までわかりやすく解説

企業間取引で長く使われてきた「手形」ですが、2026年現在は大きな転換期を迎えています。「手形はいつ廃止される?」「60日以内とは何の日数?」「手形割引の手数料はいくら?」「不渡りになるとどうなる?」「小切手との違いは?」「手形貸付もなくなる?」など、実務上確認すべき点は少なくありません。特に2026年1月には中小受託取引適正化法が施行され、対象取引での手形払いが禁止されました。さらに2027年3月31日には、電子交換所における紙の手形・小切手の交換が終了する予定です。本記事では2026年9月10日時点の全国銀行協会、金融庁、公正取引委員会、中小企業庁、国税庁、e-Gov法令検索、銀行各社などの最新公表情報を確認し、手形の基本から今後の対応までわかりやすく整理します。

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この記事の目次

  • 手形とは?仕組みをわかりやすく解説
  • 振出人と受取人の違い
  • 手形と小切手の違い
  • 手形サイト・60日以内の意味
  • 手形・小切手はいつ廃止される?
  • 手形割引とは?割引料の計算方法
  • 不渡りになるとどうなる?
  • 「手形が落ちる」とはどういう意味?
  • 手形の裏書・譲渡の仕組み
  • 手形貸付とは?手形貸付も廃止される?
  • 手形に必要な収入印紙
  • 紙の手形に代わる「でんさい」と振込

手形とは?「将来この日に支払います」という約束を証券にしたもの

一般的な商取引で「手形」という場合、主に約束手形を指します。

約束手形は、振出人が受取人に対して、記載された金額を所定の期日に支払うことを約束する有価証券です。

例えばA社がB社から商品を100万円で仕入れたものの、取引時点では現金を支払わず、「2026年11月30日に100万円を支払います」という約束手形をB社へ渡すケースを考えてみましょう。

  • A社:手形を発行し、期日に100万円を支払う
  • B社:手形を受け取り、原則として期日に100万円を受け取る

このように、商品を受け取る時期と実際に現金が支払われる時期をずらせることが、約束手形の大きな特徴です。

振出人と受取人の違い|誰がお金を払う側?

約束手形では「振出人」と「受取人」という言葉が頻繁に登場します。

名称意味商取引の例
振出人約束手形を作成して支払いを約束する者商品を仕入れ、代金を後日払う会社
受取人手形金を受け取る権利を持つ者商品を販売し、手形を受け取った会社

つまり、一般的な約束手形では振出人が支払う側、受取人がお金を受け取る側です。

振出人は支払期日までに、手形代金を支払える資金を支払銀行の当座預金などへ準備しておく必要があります。

手形と小切手の違い|最大の違いは「将来払い」か「すぐ支払うか」

手形と小切手はどちらも企業決済で利用されてきましたが、役割は異なります。

比較項目約束手形小切手
基本的な役割将来の支払いを約束する銀行に支払いを指図する
支払時期記載された満期・支払期日原則として一覧払い
信用供与一定期間、支払いを先送りできる基本的に即時決済を目的とする
現金化期日前なら手形割引などを利用できる場合がある金融機関へ呈示して支払いを受ける

小切手法では、小切手は一覧払いと定められています。国内で振り出され国内で支払われる小切手は、原則として振出日から10日以内に支払いのため呈示するルールがあります。

一方、約束手形では「2026年12月20日」のように将来の支払期日を設定できます。この期間が企業の資金繰りに大きく影響してきました。

手形サイトとは?「振出日から支払期日まで」の期間

手形に関する「サイト」とは、一般に手形の振出日から支払期日までの期間を意味します。

例えば、2026年7月31日に振り出された手形の支払期日が2026年9月29日なら、おおむね60日程度の手形サイトという考え方になります。

なお、「支払サイト」と「手形サイト」は同じとは限りません。

商品を納品してから締日までの期間や、締日から手形が交付されるまでの期間がある場合、実際に取引先が現金を受け取るまでの期間は手形サイトより長くなることがあります。

「手形は60日以内」の意味|2026年は制度変更に注意

手形について「60日以内にしなければならない」という情報を見かけることがあります。

これは制度変更の前後を分けて理解する必要があります。

2024年11月1日からは手形サイト60日が基準になった

旧下請法の運用では、2024年11月1日から、業種を問わず60日を超える長期の手形等を下請代金の支払手段として交付した場合、行政指導の対象となる運用が始まりました。

2026年1月1日から対象取引では手形払いそのものが禁止

さらに重要なのが2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(取適法)です。

同法が適用される2026年1月1日以降の発注取引では、製造委託等代金の支払手段として手形を交付すること自体が禁止されています。

そのため、取適法対象取引について現在は「60日以内の手形なら問題ない」と考えるのは正確ではありません。

電子記録債権や一括決済方式を使用する場合についても、支払期日までに代金の満額に相当する金銭を受け取ることが困難なものは原則として禁止されます。また、取適法では物品等を受領した日などから起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を設定することが求められます。

紙の手形・小切手はいつ廃止?重要なのは2026年9月30日と2027年3月31日

2026年9月現在、紙の手形・小切手は利用終了へ向けた最終段階に入っています。

全国銀行協会によると、電子交換所における紙の手形・小切手の交換は2027年3月31日で廃止されます。

また、金融機関によって最終振出期限は異なりますが、全国銀行協会が公表している情報では、期限を設定した多くの金融機関が2026年9月30日を最終振出期限としています。

つまり、2026年10月1日以降に振り出された紙の手形・小切手について、金融機関によっては原則として当座勘定から支払いができなくなります。

「全国すべての銀行で2026年9月30日に法律上、一斉に手形が無効になる」という意味ではありません。金融機関ごとに最終振出期限・入金受付期限等が設定されているため、利用銀行の最新案内を確認する必要があります。

なぜ紙の手形は廃止方向になった?

紙の約束手形には、受取企業が実際に現金を受け取るまで時間がかかり、その間の資金繰り負担を受取側が負いやすいという問題があります。

さらに紙の手形では、発行、押印、郵送、保管、銀行への持込みなどの事務が必要です。紛失・盗難リスクや印紙税などのコストも発生します。

こうした課題を背景に、政府・産業界・金融界では、振込や電子記録債権など電子的な決済手段への移行を進めています。

手形は支払期日前でも現金化できますが、そのためには割引料が発生し、不渡り時には思わぬ責任を負うこともあります。割引料の計算と裏書の重要なリスクは次のページで確認しましょう。