
億り人の税金|1億円持っているだけで税金がかかる?
通常、株式や投資信託の時価が1億円になったという理由だけで、その1億円全額に所得税が課税されるわけではありません。
所得税では基本的に、売却などによって確定した利益に対して課税されます。
例えば4,000万円で購入した上場株式が1億円になった場合、まだ売却していなければ6,000万円は含み益です。
売却すると、手数料等を考えない単純例では、
1億円-4,000万円=6,000万円
が譲渡益になります。
株で億り人になった場合の税金は?
2026年現在、課税口座で個人が上場株式等を売却して利益を得た場合、基本税率は所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて20.315%です。
例えば、上場株式の税務上の譲渡益が1億円あり、特別な調整を考慮しない単純例では、
1億円 × 20.315% = 2,031万5,000円
となります。
税引後の利益は単純計算で、
1億円-2,031万5,000円=7,968万5,000円
です。
「株で1億円儲かった」と「税引後で1億円増えた」では大きな違いがあります。
資産1億円を全部売った場合の手取り例
先ほどの、
- 取得費:4,000万円
- 売却額:1億円
- 譲渡益:6,000万円
という例では、譲渡益6,000万円に20.315%を掛けると税額の単純計算は、
6,000万円 × 20.315% = 1,218万9,000円
です。
売却代金1億円からこの税額だけを差し引くと、約8,781万1,000円になります。
実際には取得費、売却手数料、他の損益、源泉徴収状況などによって税額が変わります。
株の億り人は確定申告が必要?
証券会社の特定口座(源泉徴収あり)だけを利用し、その口座内で課税を完結させる場合は、原則としてその譲渡益について確定申告をしないことも選択できます。
一方、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)の取引などでは、状況に応じて確定申告が必要になります。
また、上場株式等の譲渡損失について、一定の配当所得等との損益通算や翌年以後3年間の繰越控除を利用する場合には、所定の確定申告が必要です。
億り人の「手取り・実質資産」はどう考える?
「実質資産」は税法上の正式な用語ではありませんが、資産管理では次の3段階を分けて考えると分かりやすくなります。
| 資産の見方 | 内容 |
|---|---|
| 時価資産 | 株・投資信託・暗号資産・預金など現在の時価合計 |
| 純金融資産 | 金融資産から借入金などの負債を差し引いた額 |
| 税引後の利用可能資産 | 含み益を実現した場合の税金なども考慮して実際に使える金額 |
住宅ローンなどの負債が5,000万円あり、金融資産が1億円なら、NRI方式に近い考え方では純金融資産は5,000万円です。
金融資産1億円-負債5,000万円=純金融資産5,000万円
この状態を「純金融資産1億円の富裕層」と同一視することはできません。
仮想通貨で億り人になった場合の税金|2026年はまだ株と同じではない
2026年9月10日時点で、個人の暗号資産取引による利益は、事業所得等となる場合を除き、原則として雑所得として扱われています。
株式のように一律20.315%で課税される仕組みではなく、給与所得など他の総合課税所得と合わせて税額を計算します。
所得税の税率は2026年現在、課税所得に応じて5%から45%の7段階です。このほか復興特別所得税や住民税も考慮する必要があります。
したがって、「仮想通貨で1億円利益が出れば税金は必ず○○万円」と、利益額だけから正確な税額を決めることはできません。
暗号資産は売却しなくても課税になる取引がある
暗号資産では、円に換金した場合だけが利益認識のタイミングではありません。
国税庁の取扱いでは、例えば、
- 暗号資産を売却して円などを受け取る
- 暗号資産で商品・サービスを購入する
- 暗号資産Aを暗号資産Bへ交換する
といった場面でも所得計算が必要になる場合があります。
「銀行口座へ円を出金していないから税金は発生しない」とは限りません。
2026年に決まった暗号資産の税制改正はいつから?
2026年度税制改正では、一定の暗号資産について、金融商品取引法の制度整備を前提に基本税率20%の申告分離課税へ移行する制度が法制化されています。
さらに、対象となる暗号資産取引の損失について、一定の要件の下で3年間の繰越控除を認める仕組みも設けられています。
ただし、ここで重要なのは2026年の暗号資産利益がすでに一律20%になったわけではないという点です。
税制の適用開始日は、2026年7月に成立した金融商品取引法等改正法の主要な暗号資産関連規定が施行される年の翌年1月1日とされています。
2026年9月10日時点では、同改正法の一部規定は2026年8月12日に施行されていますが、暗号資産取引規制全体の主要部分については今後政令で施行日が定められる制度となっています。
したがって、2026年分の暗号資産利益について「新制度の20%で申告できる」と判断することはできません。
仮想通貨の税金を合法的に抑える方法は?
税金対策は「利益を隠す」「海外取引所なら申告しない」といった方法ではありません。国内居住者には海外サービスの利用を含め、日本の税法に基づく申告義務が生じる場合があります。
2026年の現行制度で基本になるのは、
- 取得価額を正しく計算する
- 必要経費として認められる費用を適切に記録する
- 同一年中の暗号資産取引の利益・損失を正確に集計する
- 取引履歴を保存する
- 税金として必要になる資金を現金で確保する
といった適正な税務処理です。
雑所得の計算で赤字になっても、その赤字を給与所得など他の所得から自由に差し引くことはできません。また2026年の現行制度では、株式のような暗号資産損失の3年間繰越制度はまだ適用されていません。
「億り人量産年」は2017年?331人という数字の正しい意味
暗号資産市場が大きく上昇した2017年は、メディアなどで「億り人が量産された年」という趣旨で語られることがあります。
国税庁資料を基にした政府税制調査会の資料では、2017年分の確定申告で、公的年金等以外の雑所得に係る収入金額が1億円以上だった申告者のうち、暗号資産取引による収入があると判別できた人は331人とされています。
ただし、この「331人」という数字には重要な注意点があります。
- 暗号資産の利益が1億円以上だった人数ではない
- 保有暗号資産の時価が1億円以上だった人数でもない
- 「雑所得の収入金額」が1億円以上の申告者について集計した数字
- 確定申告書の記載から暗号資産取引が判別できた人のみ
したがって、「2017年に日本で億り人が正確に331人誕生した」という解釈は適切ではありません。
1億円を達成した後こそ資産管理が重要です。たった50%の下落で資産は5,000万円になります。最後のページでは、銘柄・資産配分とアーリーリタイア後の資産寿命を数字で確認します。



