
ステーキング報酬の税金|受け取った時点で課税対象になる
国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」では、マイニング、ステーキング、レンディングなどによって暗号資産を取得した場合、取得した暗号資産の取得時点における価額(時価)が所得の総収入金額に算入されるとされています。
つまり、「報酬としてETHを受け取ったが日本円へ換金していないから課税されない」とは限りません。ステーキング報酬を暗号資産で取得した時点で税務上の計算が必要になります。
ステーキング報酬は雑所得?
2026年9月時点の国税庁の現行案内では、個人の暗号資産取引によって生じる利益は、事業所得などの基因となる行為に付随して生じる場合などを除き、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。
ただし、暗号資産取引を事業として行っている場合など、実態によって所得区分が異なるケースがあります。すべてのステーキング利用者について必ず同じ所得区分になると断定することはできません。
報酬を受け取ったときの税金計算イメージ
例えば、ステーキング報酬として0.1ETHを受け取り、その取得時点の1ETHの時価が50万円だったと仮定します。
0.1ETH × 500,000円 = 50,000円
この単純な例では、取得時の5万円が総収入金額へ算入される金額の基礎になります。ステーキング等に直接要した費用で、税法上必要経費として認められるものがある場合は、所得金額の計算上控除できる場合があります。
実際の申告では、報酬以外の暗号資産取引や必要経費なども合わせて所得を計算する必要があります。
受け取った暗号資産を後から売却すると、さらに計算が必要
報酬を受け取った後、その暗号資産を値上がりした状態で日本円へ売却した場合には、その売却についても税務上の損益計算が必要です。
「報酬受取時に一度計算したから、その後の売却は非課税」という意味ではありません。
個人が保有する暗号資産の譲渡原価は、原則として総平均法または届け出た移動平均法など、税法上の方法によって計算します。そのため、単純に「売値-報酬受取時の価格」だけで全取引の税額を算出できるとは限りません。
ステーキング報酬の確定申告|「20万円ルール」を誤解しない
給与所得者について「暗号資産の利益が20万円以下なら絶対に申告不要」と説明されることがありますが、正確ではありません。
一定の給与所得者では、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える場合に所得税の確定申告が必要となるルールがあります。
ただし、20万円はステーキング報酬だけで判定するものではありません。対象となる他の副業所得や暗号資産取引の所得なども含めて判定します。
また、医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、別の理由で確定申告をする場合には、20万円以下の所得も申告に含める必要があるケースがあります。
さらに、所得税の確定申告が不要でも個人住民税の申告が必要になる場合があります。具体的な申告要否は居住する自治体や税務署の案内も確認してください。
ステーキングの税率は一律20%ではない
2026年9月時点の現行制度で、ステーキング報酬について「必ず一律20%の税率」とすることはできません。雑所得として総合課税になる場合には、他の所得と合わせて所得税などを計算します。
一方、2026年度税制改正では、金融商品取引法等の改正を前提として、一定の「特定暗号資産」の譲渡等について所得税15%・個人住民税5%の合計20%による分離課税を導入する制度改正が盛り込まれています。
財務省の公表資料では、その譲渡等に関する適用開始時期は金融商品取引法の改正法の関係規定が施行される年の翌年1月1日以後とされています。したがって、2026年9月時点のステーキング報酬について「税制改正されたので受取時から一律20%になった」と扱うのは適切ではありません。
暗号資産税制は制度改正が続いているため、実際に確定申告を行う年には国税庁の最新情報を改めて確認することが重要です。
ステーキング報酬で残しておきたい記録
ステーキングでは報酬が毎月、あるいはそれ以上の頻度で発生する場合があります。確定申告時になって過去のレートを一件ずつ確認する負担を減らすため、日頃から記録を残しておきましょう。
- 報酬を取得した日時
- 報酬として受け取った暗号資産の種類
- 受取数量
- 取得時の円換算時価
- 利用した交換業者・ウォレット
- ステーキングに直接関連して支払った費用
- 売却・交換・決済した日時と金額
- 年間取引報告書など事業者から提供される資料
複数の交換業者や自己管理ウォレットを利用すると、すべての取引をまとめて損益計算する必要が生じることがあります。事業者の履歴だけに頼らず、自分でもデータを保存しておくと確認しやすくなります。
ステーキングで「複利運用」はできる?
受け取ったステーキング報酬がさらにステーキング対象となれば、暗号資産数量について複利的に増える仕組みになる場合があります。
ただし、自動的に再ステークされるか、報酬を別途ステークし直す必要があるかはサービスによって異なります。また、複利計算上の数量が増えても暗号資産価格が下落すれば、円換算した資産額が増えるとは限りません。
「複利だから長く続ければ必ず利益が出る」という性質の商品ではありません。
ステーキングと普通預金を同じものと考えてはいけない
| 項目 | ステーキング | 一般的な円預金 |
|---|---|---|
| 元本 | 暗号資産価格により円換算額が変動 | 預入した円が基準 |
| 報酬・利息 | ネットワークやサービス条件で変動する場合がある | 預金契約の金利に基づく |
| 預金保険 | 対象外 | 対象金融機関の一定の預金は預金保険制度の対象 |
| 資産価格の変動 | 大きく変動する可能性がある | 円そのものの額面は市場価格で変動しない |
| 税務 | 取得時・売却時等に暗号資産特有の計算が必要 | 国内預金利息は通常、源泉分離課税 |
「ステーキング年率5%と普通預金年0.5%ならステーキングが10倍有利」のような比較は適切ではありません。元本そのものの価格変動リスクが大きく異なるためです。
ステーキングを始める前の最終チェック
- ステーキング対象の暗号資産が値下がりする可能性を理解しているか
- 表示された年率が固定ではなく変動する可能性を確認したか
- 表示年率が事業者の取り分を控除する前か後か確認したか
- ロック期間中に売却・出金できるか確認したか
- 途中で終了すると報酬がどうなるか確認したか
- スラッシングなどが発生した場合の扱いを確認したか
- 取引所経由なら金融庁の登録状況を確認したか
- 登録業者であっても価格や利益が保証されないことを理解しているか
- レンディングをステーキングと混同していないか
- BTCにはイーサリアム型のネイティブステーキングがないことを理解しているか
- 報酬受取時の数量・時価を記録できるか
- 確定申告・住民税の申告要否を確認できるか
まとめ|ステーキングは「利回り」より仕組み・価格変動・税金まで見ることが重要
ステーキングは、PoSを採用するブロックチェーンの運営や安全性の維持に関係しながら、暗号資産による報酬を得られる仕組みです。国内交換業者のサービスを利用すれば、バリデータを自分で構築することなく参加できる場合があります。
ただし、銀行預金の利息とは性質が異なります。暗号資産価格は大きく変動する可能性があり、ステーキング報酬率も固定とは限りません。さらに、サービスによって報酬分配率、ロック期間、売却・出金条件が異なります。
2026年9月時点では、BITPOINTは9銘柄のステーキングを掲載し、受領した報酬の75%を利用者へ分配しています。SBI VCトレードでは終了済みのXTZを除く16銘柄を掲載し、ステーキング実績の75%を利用者分として配布しています。両サービスではステーキング中の売却・出金が可能です。一方、CoinTrade Stakeでは終了申請後もロック解除日時まで売却・送金できない仕組みがあり、サービスごとの差が明確です。
イーサリアムについても、自ら32ETH以上を用意してバリデータを運営するソロステーキングと、プール・交換業者を利用する方法ではリスクや管理方法が違います。また、ビットコイン自体はPoWを採用しているため、イーサリアムと同じネイティブステーキングはありません。
税金については、国税庁がステーキングで暗号資産を取得した場合、取得時点の時価を総収入金額に算入すると案内しています。売却するまで何も記録しなくてよいわけではありません。報酬を取得した日時・数量・時価を保存し、実際の申告時には最新の税制を確認することが重要です。
ステーキングを比較するときは「年率が何%か」だけでなく、「何を保有するのか」「価格が下落した場合に耐えられるか」「いつ売れるのか」「利用者が実際に受け取る割合はいくらか」「税金をどう管理するか」まで一体として確認しましょう。
※本記事は2026年9月10日時点で確認した法令、税務情報、各ブロックチェーンおよび事業者の公式公表情報を基にした一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産・取引所・ステーキングサービスへの投資を推奨するものではありません。暗号資産は法定通貨ではなく、価格変動により損失が生じる可能性があります。利率、対象銘柄、報酬分配率、ロック条件、税制等は変更される場合があります。個別の税務判断については国税庁・税務署または税理士へご確認ください。
<参考サイト>
国税庁 / 金融庁 / 財務省 / Ethereum.org / Bitcoin.org / BITPOINT / SBI VCトレード / CoinTrade




