
暗号資産(仮想通貨)を保有しながら報酬を受け取れる方法として知られる「ステーキング」。しかし、「預けるだけで利息がもらえる仕組み」と理解するだけでは十分ではありません。利回りは変動し、暗号資産そのものの価格が下落すれば、報酬を受け取っても円換算では損失になることがあります。また、イーサリアムのステーキング、国内取引所が提供するサービス、レンディングでは仕組みやロック期間も異なります。この記事では、2026年9月10日時点の国税庁、金融庁、Ethereum.org、国内暗号資産交換業者などの公表情報を確認し、仕組み・利率・税金・メリット・デメリット・始め方までわかりやすく整理します。

- ステーキングとは?初心者向けに仕組みを解説
- ステーキング報酬と利回り・利率の考え方
- イーサリアムのステーキング方法
- ビットコインはステーキングできる?
- メリット・デメリット・危険性
- ステーキングとレンディングの違い
- ロック期間と解約・売却のタイミング
- BITPOINT・SBI VCトレード・CoinTradeの違い
- 初心者向けステーキングの始め方
- ステーキング報酬の税金と確定申告
ステーキングとは?仕組みをわかりやすく解説
ステーキングとは、主にProof of Stake(PoS:プルーフ・オブ・ステーク)という仕組みを採用するブロックチェーンで、暗号資産を一定の方法でステークし、ネットワークの運営や安全性の維持に参加することで報酬を得る仕組みです。
銀行預金の利息と似た感覚で紹介されることがありますが、法律上も経済的な仕組みも銀行預金とは異なります。預金保険制度で元本が保護される商品ではなく、暗号資産自体の価格は常に変動します。
なお、日本では「仮想通貨」という呼び方も広く使われていますが、2020年5月1日施行の改正資金決済法以降、法令上の名称は「暗号資産」です。
なぜステーキングで報酬が発生するの?
PoS型ブロックチェーンでは、バリデータと呼ばれる参加者が取引の確認や新しいブロックの検証などを担います。一定の暗号資産をステークすることは、ネットワークのルールを守って活動するための経済的な担保として機能します。
正常に役割を果たしたバリデータにはプロトコルのルールに従って報酬が与えられます。一方、不正な行為や一定の問題があった場合には、報酬を得られなかったり、ステークした資産の一部を失う「スラッシング」などのペナルティが設けられているブロックチェーンもあります。
取引所のステーキングは自分でバリデータになる方法とは違う
自分自身でノードを運営してステーキングする方法のほか、暗号資産交換業者やステーキングサービスを通じて参加する方法があります。
国内交換業者のサービスでは、利用者自身がサーバーを24時間運用したり、バリデータ用ソフトウェアを設定したりする必要がないケースがあります。その代わり、報酬の分配率、対象銘柄、売却・出金条件などは事業者ごとのサービスルールに従います。
ステーキング報酬とは?「利息」とは違う
ステーキング報酬とは、ステーキングへの参加によって受け取る暗号資産などの報酬です。
銀行預金の利息は預金契約に基づいて発生しますが、ステーキング報酬はブロックチェーンの仕組みや事業者のサービスを通じて発生します。そのため、一般的な預金金利のように固定されたものとは限りません。
「年率○%」と表示されていても、その数字が将来にわたって保証されているとは限らない点が特に重要です。
ステーキングの利回り・利率の相場は何%?
ステーキング全体について「相場は年○%」と一つの数字で示すことはできません。ブロックチェーンごとに報酬設計が異なるうえ、ネットワーク全体のステーク量、発行量、手数料、バリデータの稼働状況、事業者の分配ルールなどによって実際の報酬率が変わるためです。
例えばEthereum.orgでは、2026年9月10日の確認時点でイーサリアムのステーキングについてCurrent APR 2.5%と表示されています。ただし、これは変動するネットワーク上の指標です。
一方、SBI VCトレードでは2026年7月実績を掲載しており、ETHについて直近1か月のステーキング実績を年率2.6%と表示し、そのステーキング実績の75%を利用者分として配布する仕組みを案内しています。ネットワーク上のAPRと、利用者が事業者から最終的に受け取る報酬率は同じとは限りません。
APRとAPYの表示にも注意
ステーキングではAPR、APY、「年率実績」「推定年率」など、サービスによって異なる表示が使われます。一般にAPRは年率換算した収益率、APYは複利効果を含めた年間収益率として使われることがありますが、サービスによって計算条件は異なります。
数字だけを横並びにするのではなく、複利を含むのか、事業者の取り分を控除する前か後か、過去実績なのか将来予測なのかまで確認しましょう。
ステーキング報酬の簡単なシミュレーション
仕組みを理解するため、仮に10ETHを年率3%で1年間ステーキングし、単純計算で3%分の報酬を受け取れたとします。
10ETH × 3% = 0.3ETH
この条件だけなら1年間の報酬は0.3ETHです。ただし、実際の年率は変動し、報酬の計算方法や事業者の分配率も異なります。
さらに重要なのが円換算した資産価値です。仮に開始時に1ETHが50万円なら10ETHは500万円ですが、1年後に1ETHが35万円まで下落した場合、10.3ETHを保有していても円換算額は約360万5,000円です。
これはあくまで価格変動リスクを示す架空の計算例ですが、「暗号資産の数量が増えた=円ベースでも利益が出た」とは限らないことがわかります。
イーサリアムのステーキングとは?
イーサリアムはProof of Stakeを採用しており、ETHをステークしたバリデータがブロックの提案や検証などに参加します。
Ethereum.orgによると、自分自身のバリデータを動かすソロステーキングでは、1バリデータにつき最低32ETHが必要です。2025年のPectraアップグレード以降、1つのバリデータで扱える有効残高の上限は最大2,048ETHになっています。
32ETHを持っていなくても参加方法はある
32ETHを用意して自らバリデータを運営する以外に、プール型ステーキングや暗号資産交換業者のサービスなどを利用し、より少ない数量から参加する方法もあります。
ただし、仲介するサービスが増えるほど、スマートコントラクト、サービス提供者、カストディなど、イーサリアムのプロトコルそのものとは別のリスクが加わる場合があります。
イーサリアムのステーキングはいつでも解除できる?
イーサリアムではステークしたETHの引き出しが可能ですが、自分でバリデータを運営する場合、完全に退出するときには退出処理が必要です。Ethereum.orgによると、退出にかかる時間は、その時点で退出を希望しているバリデータ数などネットワーク需要によって変わります。
プールや取引所経由の場合は、さらにサービス事業者独自の出金ルールが適用されます。「イーサリアム自体で引き出せる」ことと「利用中のサービスから即時に売却・出金できる」ことは分けて確認する必要があります。
ステーキングできるビットコインはある?BTC自体はPoSではない
ビットコイン(BTC)のブロックチェーンには、イーサリアムと同じ意味でのネイティブなステーキング機能はありません。
BitcoinはProof of StakeではなくProof of Work(PoW)を採用しています。Bitcoin.orgでも、マイナーが専用ハードウェアを用いて取引処理とネットワークの安全性維持に参加し、その対価としてBTCを得る仕組みが説明されています。
そのため、「ビットコインのステーキング」と表示される民間サービスを見た場合は、BTCそのもののネイティブステーキングなのかを確認する必要があります。実際にはレンディング、ラップされたBTCを利用するDeFi、別のプロトコルを利用したサービスなど、異なる仕組みである場合があります。
仕組みが違えば、貸付先の信用リスク、スマートコントラクトのリスク、ブリッジ等に関するリスクなども変わります。「BTCを預ければイーサリアムと同じ仕組みでステーキングできる」と考えないようにしましょう。
利回りだけでサービスを選ぶと、価格下落やロック期間によって必要なときに売れない可能性があります。次のページではステーキングのデメリットと、BITPOINT・SBI VCトレード・CoinTradeの違いを具体的に確認します。



