
住宅ローンや事業融資などで「担保を設定する」という言葉を目にしても、実際に何が起きるのか分かりにくいものです。「担保と保証人は何が違う?」「担保なしの住宅ローンはある?」「抵当権設定にはいくらかかる?」「住宅が担保割れしたらすぐ競売になる?」「担保提供者にはどんなリスクがある?」など、契約前に知っておきたいポイントは多岐にわたります。本記事では2026年9月10日時点の民法、裁判所、国税庁、住宅金融支援機構、金融機関などの公表情報を確認し、担保の基本から登記費用、担保不動産競売、ゆうちょ銀行の担保定額貯金まで平易に解説します。

- 担保とは?わかりやすく基本を解説
- 担保の種類と担保物権
- 担保と保証人の違い
- 担保提供者・物上保証人とは?
- 担保ローンの種類
- 無担保住宅ローンはある?金利の考え方
- 住宅ローンの担保設定・登記費用
- 担保余力の計算方法
- 住宅ローンの担保割れとは?
- 返済できないと担保はどう処分される?
- 担保不動産競売の手続き
- 担保定額貯金・担保定期貯金とは?
担保とは?「返済されない場合に備える資産」のこと
担保とは、借りたお金などの債務が約束どおり返済されなかった場合に、債権者が債権を回収するための裏付けとなるものです。
代表的なのが住宅ローンです。金融機関が住宅購入資金を融資する際、購入した土地・建物に抵当権を設定することがあります。借主が契約どおり返済している間、その住宅に通常どおり住み続けることができますが、返済不能となって所定の条件を満たすと、金融機関などは抵当権を実行して不動産を売却し、その代金から債権を回収できます。
民法第369条では、抵当権者は、債務者または第三者が占有を移さず担保にした不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を持つと定められています。
担保があれば必ずローンに通るわけではない
価値のある不動産などを担保にできても、融資が自動的に承認されるわけではありません。
金融機関は一般に、担保の評価だけでなく、申込者の収入、返済負担、既存の借入れ、資金使途などを含めて審査します。担保は返済不能時に備える仕組みであって、通常の返済能力を確認しなくてよいという意味ではありません。
担保にはどんな種類がある?代表例を一覧で確認
| 担保の例 | 使われる場面 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 土地・建物 | 住宅ローン、不動産担保ローン等 | 抵当権を設定する方法が代表的 |
| 預貯金 | 預貯金担保貸付等 | 預金を担保に融資を受ける |
| 株式・債券等 | 証券担保ローン、信用取引等 | 時価変動により担保価値も変動する |
| 動産 | 質取引など | 物を占有する質権などがある |
| 債権 | 企業金融等 | 一定の要件で債権自体を担保にできる |
担保になる資産は、不動産だけではありません。預貯金、有価証券、一定の動産・債権なども利用される場合があります。
ただし、所有している資産なら何でも担保として100%の価値で評価されるわけではありません。価格変動、売却のしやすさ、権利関係などを考慮し、金融機関が独自に担保評価を行うことがあります。
担保物権とは?抵当権だけではない
民法上、債権の回収を確保するために物へ認められる権利を「担保物権」と呼びます。代表的なものには次の4種類があります。
| 担保物権 | 簡単な意味 |
|---|---|
| 留置権 | 一定の債権が支払われるまで、関連する物を返さず留め置くことができる権利 |
| 先取特権 | 法律上定められた一定の債権について、他の債権者に先立って弁済を受けられる権利 |
| 質権 | 担保として受け取った物などから優先的に弁済を受ける権利 |
| 抵当権 | 不動産の占有を所有者に残したまま設定し、実行時に売却代金などから優先弁済を受ける権利 |
住宅ローンで最も身近なのは抵当権です。住宅に抵当権を設定しても、住宅そのものを銀行へ引き渡すわけではありません。借主は通常どおり住宅を使用しながら返済を続けます。
担保と保証人は何が違う?「物」と「人」の違い
担保と保証人は、どちらも債権者が返済を受けられないリスクを減らすために利用されますが、仕組みが異なります。
| 比較項目 | 担保 | 保証人 |
|---|---|---|
| 中心となるもの | 不動産・預貯金などの財産 | 返済義務を負う人 |
| 返済不能時 | 担保権の実行などにより財産から回収 | 保証契約に基づき保証人へ請求 |
| 住宅ローンでの例 | 住宅・土地への抵当権 | 収入合算者などが連帯保証人となる場合がある |
住宅ローンでは購入する不動産に抵当権を設定し、保証会社を利用する商品が多いため、個人の連帯保証人は原則不要としている金融機関もあります。
ただし、収入合算、共有関係、商品設計などによって連帯保証人が必要になるケースがあります。連帯保証人は主債務者と非常に重い責任を負うため、単なる「連絡先」ではありません。
担保提供者とは?自分の財産で他人の借金を担保することもある
担保提供者とは、自分が所有する財産を借入れの担保として提供する人を指します。特に、自分自身は借主ではないのに、他人の債務のために所有財産へ抵当権などを設定する人を「物上保証人」と呼ぶことがあります。
例えば夫だけが住宅ローンの債務者で、住宅の土地・建物を夫婦で共有している場合、妻が自分の持分を住宅ローンの担保へ提供するケースがあります。三菱UFJ銀行も、住宅ローン対象不動産が共有名義の場合、共有者は担保提供者(物上保証人)になると案内しています。
担保提供者と連帯保証人は同じではない
物上保証人は、原則として提供した担保財産について責任を負う立場です。借主が返済できず担保権が実行されれば、自分の不動産などを失う可能性があります。
一方、連帯保証人は保証契約に基づいて債務の返済責任を負います。担保提供者が同時に連帯保証人や連帯債務者になっている場合を除き、「物上保証人だから借金全額について無制限に個人財産から返済しなければならない」という意味ではありません。
契約時には、自分が担保提供者だけなのか、連帯保証人・連帯債務者にもなっているのかを必ず確認しましょう。
担保を付ければ金利が必ず安くなるとは限らず、抵当権を設定すると登記費用も発生します。次のページでは無担保住宅ローンの実例と、2026年時点の登録免許税まで整理します。




