グロース市場の主な株価指数
東証グロース市場指数
東証グロース市場指数は、グロース市場に上場する対象銘柄を広く反映する指数です。市場全体の値動きを確認したい場合に使われます。
東証グロース市場250指数
東証グロース市場250指数は、東証グロース市場指数の構成銘柄を母集団として、原則として上場時価総額の大きい順に250銘柄を選定する指数です。
年1回、10月最終営業日に定期入れ替えが行われます。上場廃止や市場区分変更などによって、実際の構成銘柄数が一時的に250社を上回ったり下回ったりする場合があります。
旧東証マザーズ指数の流れを引き継いでいるため、ニュースや証券会社の画面では「グロース250」と表示されることもあります。連動を目指すETFや先物もありますが、指数自体を直接購入することはできません。
JPXスタートアップ急成長100指数
2026年3月9日には、成長性に着目した新指数「JPXスタートアップ急成長100指数」のリアルタイム配信が始まりました。
原則としてグロース市場の企業や、グロース市場から市場変更して一定期間内の企業を対象に、売上高や時価総額の成長などを踏まえて100銘柄を選定します。東証グロース市場250指数が企業規模を重視するのに対し、こちらはスタートアップ企業の成長性に重点を置いている点が特徴です。
グロース市場の有望株を見つけるための確認項目
有望株に共通する絶対的な条件はありません。売上高が伸びていても株価が割高であれば下落することがあり、赤字企業でも事業が想定以上に成長すれば評価が変わることがあります。
銘柄を見る際は、次の項目を組み合わせて確認することが重要です。
- 売上高の成長率:一時的な特需ではなく、継続的に伸びているか
- 市場規模:企業が参入する市場に十分な拡大余地があるか
- 競争優位性:技術、顧客基盤、データ、ブランドなどに強みがあるか
- 粗利益率:売上増加が将来の利益につながる構造か
- KPI:契約数、解約率、顧客単価などが改善しているか
- 保有現金:追加調達をせずに事業を続けられる期間が十分か
- 株式の希薄化:新株発行やストックオプションが過度に増えていないか
- 企業価値評価:成長期待がすでに株価へ織り込まれすぎていないか
特に赤字企業では、売上成長率だけでなく、営業キャッシュフロー、現預金、毎月の資金流出額を確認する必要があります。
グロース市場の平均利回りは高いとは限らない
グロース市場の平均配当利回りは、構成企業や株価、配当方針によって変動するため、固定された数字ではありません。JPXは市場別の株式平均利回りを定期的に公表していますが、確認する時点によって数値は異なります。
成長段階の企業は、利益や調達資金を配当ではなく、研究開発、採用、広告、設備、M&Aなどへ再投資する傾向があります。そのため、グロース市場は一般に高配当株を中心とした市場ではありません。
配当利回りだけで判断するより、利益を再投資した結果として売上や企業価値が伸びているかを見ることが重要です。
機関投資家がグロース市場に入りにくい理由
機関投資家がグロース市場へまったく投資しないわけではありません。ただし、規模の小さい企業は、運用対象になりにくい場合があります。
主な理由は次の通りです。
- 時価総額が小さく、大きな金額を投資しにくい
- 売買高が少なく、必要なときに売却できない可能性がある
- 一定額を買うだけで株価を大きく動かしてしまう
- 運用規程で最低時価総額や流動性の条件が定められている
- アナリストによる調査対象になっていない企業が多い
- 業績予想の不確実性や増資による希薄化リスクが大きい
- 開示されるKPIや成長戦略を企業間で比較しにくい
100億円基準への見直しには、企業を早期に機関投資家の投資対象となり得る規模へ成長させ、市場の流動性や信頼性を高める狙いがあります。
エクイティストーリーは義務化された?
エクイティストーリーとは、企業がどのように資金を活用し、売上、利益、企業価値を高めていくのかを投資家へ伝える一連の説明です。
2026年時点で、「エクイティストーリー」という名称の独立した資料を全社が提出しなければならない制度が新設されたわけではありません。
一方、グロース市場の上場会社には、「事業計画及び成長可能性に関する事項」を新規上場日に開示し、その後も少なくとも1事業年度に1回以上、事業年度終了後3か月以内に最新情報を開示する義務があります。事業計画を変更した場合などは、速やかな開示も必要です。
さらに、時価総額100億円未満の企業には、見直し後の上場維持基準を意識した成長戦略の記載が求められています。したがって、エクイティストーリーそのものが一律に義務化されたというより、説得力のある成長戦略を継続的に説明する重要性が高まったと考えるのが適切です。
グロース市場のメリットとデメリット
企業側のメリット
- 株式発行による資金調達がしやすくなる
- 知名度や社会的信用の向上が期待できる
- 株式を活用したM&Aを行いやすくなる
- ストックオプションなどを人材採用に活用できる
- 早い成長段階から幅広い投資家の資金を受けられる
企業側のデメリット
- 監査、情報開示、IRなどの費用が増える
- 短期的な株価変動や市場評価に向き合う必要がある
- 増資によって既存株主の持分が希薄化することがある
- 成長目標を達成できない場合、株価が大きく下落しやすい
- 上場維持基準を継続して満たす必要がある
投資家側のメリットと注意点
投資家にとっては、企業の成長初期から投資できる点がメリットです。一方、事業計画の未達、赤字の長期化、資金不足、株式の希薄化、株価の急変など、大型企業とは異なるリスクがあります。
グロース市場へ投資する際は、複数銘柄への分散、投資金額の管理、最新の決算資料と適時開示の確認が欠かせません。
まとめ|2026年は100億円改革への準備が本格化する年
グロース市場は、高い成長可能性を持つ企業に資金調達の機会を提供する一方、事業実績や株価の面では比較的大きなリスクを伴う市場です。
2026年時点の時価総額基準は、上場10年経過後に40億円以上です。上場5年経過後に100億円以上とする新基準は、2030年3月1日以後、最初に到来する事業年度末から適用されます。
そのため、2026年に時価総額100億円未満であるだけで上場廃止が迫っているとは判断できません。ただし、対象企業には将来の基準を意識した成長戦略や情報開示が求められ始めています。
銘柄を判断する際は、時価総額だけでなく、売上成長、競争優位性、保有現金、キャッシュフロー、株式の希薄化、経営陣の説明力などを総合的に確認することが大切です。
<参考サイト>日本取引所グループ(JPX)/東京証券取引所/JPX総研/東証上場会社情報サービス/JPxData Portal/JPX上場会社向けFAQ





