グロース市場の上場維持基準
上場後の企業には、新規上場基準とは別に、上場を継続するための「上場維持基準」が適用されます。
| 項目 | グロース市場の上場維持基準 |
|---|---|
| 株主数 | 150人以上 |
| 流通株式数 | 1,000単位以上 |
| 流通株式時価総額 | 5億円以上 |
| 流通株式比率 | 25%以上 |
| 売買高 | 月平均売買高10単位以上 |
| 時価総額 | 上場10年経過後に40億円以上 |
| 純資産 | 純資産の額が正であること |
基準に適合しない状態になった場合は、原則として1年間の改善期間に入ります。売買高基準の改善期間は6か月です。改善期間内に適合できなければ、監理銘柄や整理銘柄への指定を経て上場廃止となる可能性があります。
100億円基準は2026年からではなく2030年から
グロース市場改革で特に注目されているのが、時価総額に関する上場維持基準の引き上げです。
現在は上場10年経過後に時価総額40億円以上という基準ですが、見直し後は上場5年経過後に時価総額100億円以上となります。
新基準が実際に適用されるのは、2030年3月1日以後、最初に到来する事業年度の末日からです。したがって、2026年時点で時価総額が100億円未満だからといって、直ちに上場廃止になるわけではありません。
2026年は100億円基準への準備・開示段階
100億円基準の適用は2030年からですが、企業側の準備はすでに始まっています。2025年12月末以後に事業年度末を迎えた時点で時価総額が100億円未満の企業には、「事業計画及び成長可能性に関する事項」の中で、見直し後の上場維持基準を意識した成長戦略を記載することが求められます。
ただし、東証は一律に「何年後に必ず100億円へ到達する」という財務予測の開示を求めているわけではありません。企業には、自社の市場規模、競争優位性、成長投資、M&A、資金調達などを踏まえた説明が必要になります。
100億円未満の企業に設けられる例外的な猶予
2030年以降に新基準へ適合できない企業は、原則として1年間の改善期間に入ります。一方、基準への適合を目指す具体的な計画を期限内に開示した場合は、その計画期間の末日まで例外的に上場廃止が猶予される仕組みがあります。
制度上、計画期間の一律の上限は定められていません。ただし、期間が長ければ自動的に認められるわけではなく、売上成長、利益率、資金調達、事業進捗などを市場へ継続的に説明する必要があります。また、猶予中であっても、従来の「上場10年経過後、時価総額40億円以上」の基準を満たせない場合は、上場廃止につながる可能性があります。
経過措置終了がグロース市場に与える影響
市場再編時に設けられた上場維持基準の経過措置は終了しており、2025年3月1日以後に到来する判定基準日から、本来の上場維持基準が適用されています。
ただし、2023年3月31日時点で、2026年3月1日以後の基準日を超える適合計画を開示していた一部の企業については、その計画期限における適合状況が確認されるまで監理銘柄指定が継続される場合があります。
この経過措置終了と、2030年からの時価総額100億円基準は別の制度です。2026年に問題となるのは、まず株主数、流通株式時価総額、流通株式比率など、現在の上場維持基準への適合状況です。
上場廃止が懸念される銘柄を確認する方法
「時価総額100億円未満」という情報だけで上場廃止懸念銘柄と判断するのは適切ではありません。2026年時点では、次の順番で公式情報を確認することが大切です。
- JPXの「改善期間該当銘柄等一覧」に掲載されているか
- 監理銘柄または整理銘柄に指定されているか
- 上場維持基準への適合状況を企業が開示しているか
- 改善計画の期限、進捗、達成条件が明確か
- 純資産、保有現金、営業キャッシュフローに問題がないか
時価総額は株価によって毎日変化します。短期間だけ基準を上回ったかではなく、東証が定める算定期間や判定基準日に基づいて確認されます。
グロース市場特設ページは投資家向けの情報発信を支援
東証とJPX総研は2026年2月、JPxData Portal内に「グロース市場特設ページ」を開設しました。
特設ページには、「高い成長を目指した経営」に積極的に取り組み、掲載を申請した企業の「事業計画及び成長可能性に関する事項」が一覧化されています。開示資料を企業名、業種、開示日などから確認しやすくすることが目的です。
ただし、掲載企業はJPXが将来性を保証した銘柄や、投資を推奨した銘柄ではありません。掲載の有無だけで投資判断を行わず、開示内容と実際の業績を照らし合わせる必要があります。
制度改正だけでなく、2026年には成長性に着目した新しい指数も登場しました。指数の違い、有望株の見方、機関投資家が重視する条件を次のページで解説します。





