委託保証金とは?保証金率の計算・追証・現金0円やマイナスの意味を徹底解説

委託保証金の追証とは?

追証とは「追加保証金」の略で、信用建玉の評価損や代用有価証券の値下がりなどにより、委託保証金率が証券会社の定める最低維持率を下回ったときに追加で差し入れる保証金です。

「おいしょう」と読みます。追証は損失を確定する手数料ではなく、不足した担保を補うための金銭や有価証券です。

追証が発生する主な原因

  • 信用買いした株式が値下がりした
  • 信用売りした株式が値上がりした
  • 代用有価証券の時価が下落した
  • 代用有価証券の掛目が引き下げられた
  • 金利、貸株料、品貸料などの諸経費が増えた
  • 受渡未到来の決済損が保証金から差し引かれた
  • 取引所や証券会社が保証金率を引き上げた

信用売りでは株価上昇に理論上の上限がないため、損失も上限なく拡大する可能性があります。急激な値動きでは、保証金を超える損失が発生することもあります。

追証金額の基本的な計算方法

最低保証金維持率が20%の場合、追証判定に必要な保証金は次のように求めます。

必要保証金=建玉代金合計×20%

追証概算額=必要保証金-実質保証金

建玉代金が100万円、実質保証金が19万円の場合は次のとおりです。

必要保証金=100万円×20%=20万円

追証概算額=20万円-19万円=1万円

ただし、実際には金利や手数料、当日の値洗い、受渡未到来の取引などが加わります。追証発生後も相場が動くため、必要額が変化する場合があります。

追証を解消する主な方法

追証の解消方法と期限は証券会社によって異なります。代表的な方法は次のとおりです。

  • 指定された金額の現金を入金する
  • 証券会社が認める代用有価証券を差し入れる
  • 信用建玉の全部または一部を反対売買で決済する
  • 証券会社が認める方法で現引き・現渡しを行う

建玉を決済すれば必ず入金が不要になるとは限りません。決済によって損失が確定すると、受渡日に現金不足が発生することがあります。追証と預り金不足は別々に解消が必要な場合があります。

株価が戻っても追証が自動的に消えない場合がある

追証発生後に株価が回復し、画面上の維持率が基準を上回っても、すでに確定した追証が自動的に解消されない証券会社があります。

SBI証券では、追加保証金が発生した後に委託保証金率が20%を上回っても、所定の方法と期限で追証を解消する必要があります。追証の有無は、リアルタイムの保証金率だけでなく、口座サマリーや追証表示で確認してください。

期限までに解消しないと強制決済される

追証を所定の期限までに解消できない場合、証券会社は信用建玉の一部または全部を反対売買で強制決済することがあります。

強制決済の価格は選べません。急落やストップ安、買い気配・売り気配などによって約定が遅れ、損失が拡大する可能性があります。強制決済後も不足金が残れば、その金額を支払う義務があります。

SBI証券の委託保証金率と追証

2026年7月時点で、SBI証券の通常の国内信用取引では、委託保証金率が20%を下回ると追加保証金の対象になります。新規建てには原則として30万円以上の保証金が必要で、信用建余力の計算には31%を基準とする仕組みが使われています。

SBI証券の委託保証金率は、次の考え方で計算されます。

委託保証金率=(委託保証金現金+代用有価証券評価額-諸経費-評価損±受渡未到来の決済損益)÷建玉代金合計×100

建玉の評価益は、原則として保証金率を増やす金額には使われず、評価損がある場合に差し引かれます。

取引ルールや解消期限は変更される可能性があります。実際に追証が表示された場合は、画面に表示された必要額と期限を優先してください。

SBI証券の「委託保証金現金」とは

SBI証券では、委託保証金現金を受渡日基準で計算して表示します。画面によって、当日基準、翌営業日基準、取引終了後の値洗い基準などが表示されます。

住信SBIネット銀行との預り金自動スィープサービスを利用している場合、専用銀行口座残高を加えた「参考委託保証金率」が別に表示されることがあります。通常の委託保証金率と参考委託保証金率を混同しないようにしましょう。

委託保証金現金が0円になる理由

委託保証金現金が0円でも、直ちに追証や口座異常を意味するわけではありません。主に次のような状況が考えられます。

  • 委託保証金の全額を代用有価証券で差し入れている
  • 口座内の現金が現物取引などの受渡しに使用される予定である
  • 入金した現金が受渡日基準の表示へまだ反映されていない
  • 銀行連携口座の資金が参考保証金として別表示されている
  • 信用建玉がなく、保証金現金を拘束する必要がない

0円という表示だけで判断せず、次の項目を一緒に確認してください。

  • 代用有価証券評価額
  • 実質保証金
  • 委託保証金率
  • 信用建余力
  • 追証・不足金の警告表示
  • 受渡日ごとの必要精算額

委託保証金現金がマイナスになる理由

委託保証金現金がマイナスの場合は、信用取引に利用できる現金部分が不足している可能性があります。

代表的な原因は次のとおりです。

  • 反対売買による決済損が現金保証金を上回った
  • 現引きの買付代金を現金で賄えなかった
  • 現物株式や投資信託などの買付代金が必要になった
  • 金利、貸株料、品貸料などの費用が差し引かれた
  • 出金や振替によって現金が不足した
  • 受渡日の異なる取引が重なった

委託保証金率が追証基準を上回っていても、現金の決済不足が別に発生する場合があります。代用有価証券の評価額が十分でも、確定した決済損を現金で支払う必要があるためです。

マイナス表示がある場合は、追証だけでなく「預り金不足額」「必要精算額」「入金期限」を確認してください。期限までに必要な入金がなければ、取引制限や保有商品の売却が行われる可能性があります。

委託保証金率の安全な水準は何%?

すべての銘柄や相場環境に共通する安全な保証金率はありません。通常の新規建て基準である30%は、損失を防ぐ安全基準ではなく、取引を開始するための最低基準です。

保証金率が30%の場合、保証金に対して約3.3倍までの建玉を持つ計算になります。

100÷30=約3.33倍

保証金率が50%なら、建玉は保証金の約2倍です。

100÷50=2倍

建玉を小さくし、保証金率を高く保つほど、一定の値動きに対する余裕は大きくなります。ただし、50%以上でも次のような場面では追証や損失が発生します。

  • 決算発表後に大きく窓を開けて下落・上昇した
  • ストップ安やストップ高で決済できなかった
  • 代用有価証券と信用建玉が同時に値下がりした
  • 代用掛目が突然引き下げられた
  • 増担保規制が実施された

保証金率に余裕を持たせる方法

  • 信用建玉を保証金の上限まで建てない
  • 現金保証金の割合を増やす
  • 担保銘柄を一つの業種へ集中させない
  • 決算や重要イベント前に建玉を減らす
  • 毎日の終値後に維持率を確認する
  • 追証水準より前に損失を抑える基準を決める

「追証にならなければ安全」ではありません。追証水準へ近づいてから対応すると、相場急変や注文集中によって間に合わないことがあります。

委託保証金率の引き上げとは?

特定の銘柄で信用取引が過度に利用され、株価や信用残高が大きく変動している場合、取引所は委託保証金率を引き上げることがあります。この措置は一般に増担保規制と呼ばれます。

代表的な規制例は、委託保証金率を通常の30%から50%以上へ引き上げ、そのうち現金20%以上を求める内容です。

100万円の新規建てに対して50%以上、うち現金20%以上の規制がある場合、少なくとも次の保証金が必要です。

  • 委託保証金合計:50万円以上
  • 委託保証金現金:20万円以上

代用有価証券を50万円分用意しても、現金部分の条件を満たさなければ新規建てできません。

証券会社独自の引き上げもある

取引所による規制がなくても、証券会社が独自に次の対応を行う場合があります。

  • 委託保証金率を引き上げる
  • 現金保証金を必須にする
  • 特定銘柄の代用掛目を引き下げる
  • 信用新規注文を停止する
  • 建玉上限を引き下げる

取引所の増担保規制は、原則として規制開始後の新規建てへ適用される内容が公表されます。一方、証券会社独自の措置では扱いが異なる場合があるため、既存建玉への影響も含めて通知を確認してください。

委託保証金を引き出すことはできる?

委託保証金は、必要な担保額を上回る余剰部分であれば、原則として引き出せます。ただし、建玉や未受渡取引がある間は自由に全額を引き出せません。

一般に、引き出し後も次の条件を満たす必要があります。

  • 必要な委託保証金率を下回らない
  • 最低保証金額を下回らない
  • 追証や預り金不足が発生していない
  • 未約定注文に必要な保証金が残っている
  • 決済損や現引代金などの必要資金を確保している

SBI証券では、現金を買付代金などへ充当する際、委託保証金のうち30万円を上回り、かつ所定の保証金率を超える余剰部分に制限される場合があります。

建玉を決済した当日に保証金をすべて引き出せるとは限りません。決済の受渡日、確定損益、諸経費が反映された後に出金可能額が確定します。