
スタンダード市場の企業一覧と有名銘柄
スタンダード市場には1,500社を超える企業が上場しており、製造業、小売業、情報通信業、卸売業、サービス業、建設業など、幅広い業種で構成されています。
代表例として、東証スタンダード市場TOP20の構成銘柄には、次のような企業があります。
- 日本マクドナルドホールディングス
- セリア
- 日本オラクル
- 東映アニメーション
- ワークマン
- ヨネックス
- アコム
- 沖縄セルラー電話
- 名村造船所
- フクダ電子
上記はスタンダード市場を代表する指数の構成例であり、将来の値上がりや利益を保証するものではありません。指数の構成銘柄は定期選定や上場廃止などによって変更される場合があります。
スタンダード市場指数とETFの仕組み
東証スタンダード市場指数
東証スタンダード市場指数は、スタンダード市場に上場する内国普通株式の全銘柄を対象とする指数です。
算出方法は、浮動株ベースの時価総額加重方式です。市場で流通しやすい株式の時価総額が大きい企業ほど、指数への影響も大きくなります。
- 基準日:2022年4月1日
- 基準値:1,000
- 配当なし指数:15秒間隔で算出
- 配当込み指数:終値ベースで算出
「スタンダード市場全体の株価が上がっているか、下がっているか」を把握するときに利用できます。ただし、時価総額の大きな銘柄の影響を受けるため、すべての構成銘柄が同じ方向に動いているとは限りません。
東証スタンダード市場TOP20
東証スタンダード市場TOP20は、スタンダード市場指数の構成銘柄から、時価総額と流動性が高い20銘柄を選んで構成する指数です。
全銘柄型のスタンダード市場指数に比べ、規模が大きく売買が活発な企業の動向を反映しやすい特徴があります。
スタンダード市場に連動するETFはある?
東京証券取引所には、東証スタンダード市場TOP20への連動を目指す東証スタンダードTOP20ETFが上場しています。証券コードは1551です。
ETFを利用すれば、個別株を20銘柄購入しなくても、1つの商品を通じて複数のスタンダード市場銘柄に分散投資できます。
一方、ETFにも価格変動リスク、元本割れ、指数との連動差、信託報酬、売買時の手数料、流動性リスクがあります。「指数に連動するから安全」という商品ではありません。
2026年に進むスタンダード市場改革
東京証券取引所は、スタンダード市場について、多様な企業を受け入れるという市場コンセプトを維持しつつ、企業価値向上、少数株主保護、株式の流動性などを重視する方向でフォローアップを進めています。
2026年の議論では、特に次のような点が注目されています。
- 資本コストや株価を意識した経営の促進
- 企業価値向上に積極的な企業の見える化
- 取組みの検討や実行に課題を抱える企業への支援
- 支配株主や親会社が存在する企業における少数株主保護
- 投資家が売買しやすい流動性の確保
- 新規上場企業に対する企業価値向上の意識付け
これらは、単に上場会社数を減らすことを目的としたものではありません。上場会社としての質を高め、投資家から適切な評価を受けられる市場にすることが主な目的です。
資本コストの開示状況は?
東京証券取引所は、2023年3月から、プライム市場とスタンダード市場の全上場会社に対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を求めています。
2026年6月末時点では、スタンダード市場の56%、877社が開示または検討状況を公表しています。内訳は、開示済みが844社、検討中が33社です。
また、開示済み企業のうち503社は、初回公表後に内容を更新しています。単に一度資料を出すだけでなく、業績、資本効率、株価、投資家との対話を踏まえて取組内容を見直す動きが広がっています。
PBR1倍割れ企業には何が求められる?
PBRは、株価が1株当たり純資産の何倍まで評価されているかを示す指標です。PBR1倍割れは、株価が1株当たり純資産を下回っている状態を指します。
東京証券取引所の資料では、2026年3月1日時点で、スタンダード市場のPBR1倍割れ企業は49%、766社でした。2022年7月時点の64%からは改善していますが、依然として約半数を占めています。
ただし、PBRが1倍を下回っただけで上場廃止になるわけではありません。PBR1倍以上が上場維持基準として定められているわけでもありません。
企業に求められているのは、PBRを一時的に1倍以上へ引き上げることではなく、次のような継続的な取組みです。
- 資本コストやROE、ROICなどを把握する
- 収益性や市場評価が低い原因を分析する
- 成長投資、研究開発、人材投資などの方針を示す
- 採算性が低い事業を含め、事業ポートフォリオを見直す
- 現預金や保有資産、政策保有株式を適切に管理する
- 配当や自社株買いを含む資本配分方針を説明する
- 投資家との対話内容を経営戦略に反映する
- 取組みの進捗を定期的に更新する
配当の増額や自社株買いだけでPBRを引き上げようとするのではなく、成長力、収益力、資本効率を中長期的に高めることが重要とされています。
スタンダード市場のメリットとデメリット
上場企業側のメリット
- 株式市場を通じた資金調達が可能になる
- 知名度や社会的信用の向上が期待できる
- 採用活動や取引先の開拓で有利になる場合がある
- 株式交換などを活用したM&Aの選択肢が広がる
- 企業価値や経営状況が市場で評価される
上場企業側のデメリット
- 監査、開示、株主総会などの上場維持コストがかかる
- 業績や経営方針について継続的な説明が必要になる
- 短期的な株価や株主還元を意識しすぎる可能性がある
- 株式の取得状況によっては買収リスクが生じる
- 上場維持基準に適合するための施策が必要になる
投資家側のメリット
- 長い事業実績を持つ企業を選べる
- 知名度の高い消費関連企業や製造業も上場している
- 配当や株主優待を実施する企業がある
- プライム市場とは異なる中小型株に投資できる
- 企業価値向上による再評価が期待される銘柄もある
投資家側の注意点
- 銘柄によって売買高や流動性に大きな差がある
- 希望する価格で売買できない場合がある
- アナリストによる情報発信が少ない企業もある
- 大株主や親会社の持株比率が高い企業もある
- PBRが低くても、必ず割安とは限らない
- 上場廃止や完全子会社化により市場で売買できなくなる場合がある
まとめ:スタンダード市場は「中間」ではなく独自の役割を持つ市場
スタンダード市場は、プライム市場とグロース市場の単なる中間に位置する市場ではありません。一定の事業実績、流動性、基本的なガバナンス水準を持ち、中長期的な企業価値向上を目指す企業のための独立した市場です。
2026年時点の主な上場維持基準は、株主数400人以上、流通株式数2,000単位以上、流通株式時価総額10億円以上、流通株式比率25%以上です。経過措置は原則として終了しており、基準に適合できない企業には改善期間や上場廃止に向けた手続きが適用されます。
一方、今後の市場改革では、数値基準だけでなく、資本コストを意識した経営、少数株主保護、流動性、情報開示の質も重要になります。銘柄を比較するときは、市場区分だけで判断せず、業績、財務状況、株主構成、売買高、企業価値向上策などを総合的に確認することが大切です。
日本取引所グループ(JPX)/東京証券取引所/JPX総研



