資産形成支援とは?企業の福利厚生・職場つみたてNISA・企業型DC・金融教育・助成制度まで徹底解説

従業員の資産形成支援を福利厚生として取り入れる企業が増えるなか、「職場つみたてNISAと企業型DCはどちらがいい?」「奨励金はいくらが相場?」「金融教育は外部委託できる?」「導入時に労使協定は必要?」「国の補助金や助成金は使える?」といった疑問も多くあります。資産形成支援には、投資制度だけでなく、退職金制度、財形貯蓄、金融経済教育など複数の選択肢があり、税制や資金の引き出し条件も異なります。本記事では2026年9月10日時点の金融庁、厚生労働省、国税庁、J-FLEC、日本証券業協会、国民年金基金連合会などの公表情報を確認し、企業・従業員双方のメリットと注意点、導入手順までわかりやすく整理します。

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この記事の目次

  • 資産形成支援とは?企業ができること
  • 企業の資産形成支援・福利厚生の種類
  • 職場つみたてNISAの仕組み
  • 職場つみたてNISAの奨励金相場は?
  • 企業型DCとの違いを比較
  • iDeCo+・財形・中退共という選択肢
  • 従業員と企業の税制メリット
  • 金融教育・研修は外部委託できる?
  • 公的な補助金・助成金はある?
  • 導入に必要な労使協定・労使合意
  • 制度導入の手順と企業側のデメリット
  • 資産形成支援協会とは?
  • 東海東京証券の資産形成支援グループとは?

資産形成支援とは?給与を増やすだけではない福利厚生

企業における資産形成支援とは、従業員が将来に向けて貯蓄・投資・老後資金準備などを行いやすくするため、会社が制度や教育の面から支援する取り組みです。

代表的な方法には、

  • 職場つみたてNISA
  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)
  • iDeCo+
  • 財形貯蓄
  • 中小企業退職金共済(中退共)
  • 従業員持株会
  • 金融経済教育・ライフプラン研修

などがあります。

どの制度が最も優れているというものではなく、企業規模、従業員の年齢構成、福利厚生予算、退職金制度の有無、従業員がいつ資金を使うのかによって適した制度が変わります。

企業の資産形成支援制度を一覧比較

制度主な目的会社による金銭支援資金の引き出し
職場つみたてNISA長期的な投資・資産形成奨励金を設定可能NISA商品を売却して払出し可能
企業型DC老後資金形成事業主が掛金を拠出原則60歳まで引き出せない
iDeCo+中小企業従業員の老後資金形成iDeCo掛金へ事業主が上乗せ原則60歳まで引き出せない
財形貯蓄貯蓄・住宅・老後資金財形給付金制度等を併用できる場合あり制度によって異なる
中退共中小企業従業員の退職金掛金を事業主が全額負担原則退職時に給付
従業員持株会自社株による資産形成企業が奨励金を設ける場合あり制度規約等による
金融経済教育家計管理・投資・年金等の知識向上会社が研修機会を提供資産そのものを拠出する制度ではない

職場つみたてNISAとは?会社を通じてNISAで積立

金融庁によると、職場つみたてNISAとは、職場という身近な場を通じて、従業員などがNISAを利用した資産形成を行えるよう事業主が支援する福利厚生制度です。

従業員は、事業主が契約した証券会社などのNISA取扱業者が選定する対象商品の中から自ら商品を選び、給与天引きや本人名義口座からの口座振替などによって積み立てます。

会社が投資先を決めて強制的に従業員のお金を運用する制度ではありません。

NISA自体の2026年の非課税枠

2026年9月時点の18歳以上向けNISAでは、

  • つみたて投資枠:年間120万円
  • 成長投資枠:年間240万円
  • 年間最大:360万円
  • 非課税保有限度額:1,800万円
  • うち成長投資枠:1,200万円
  • 非課税保有期間:無期限

となっています。

職場つみたてNISAを利用したから、このNISA枠とは別に特別な追加非課税枠が与えられるわけではありません。本人の通常のNISA口座を利用する仕組みです。

職場つみたてNISAの奨励金とは?

企業は福利厚生の一環として、職場つみたてNISAを利用する従業員へ奨励金を支給することがあります。

例えば、従業員が毎月一定額を積み立てた場合に会社が一定額を上乗せするといった設計です。

ただし奨励金の設定は必須ではありません。日本証券業協会の制度では、実際の支給額・支給条件は企業が決定します。

職場つみたてNISAの奨励金相場はいくら?

2026年9月10日時点で、全国の職場つみたてNISA奨励金について「平均○円」「相場○%」と示した最新の公的統計は確認できません。

日本証券業協会の職場つみたてNISA導入状況に関する統計調査は2017年12月分をもって終了しており、現在の全国平均奨励額を示す継続統計にはなっていません。

そのため、インターネット上の一部企業の事例を集めて「相場は月○円」と断定するのは適切ではありません。

企業が奨励金を決める際は、

  • 年間の福利厚生予算
  • 対象となる従業員数
  • 最低積立額
  • 定額支給か積立額連動か
  • 公平性
  • 給与・税務処理

などを踏まえて設計します。

職場つみたてNISAの奨励金は非課税?

ここは特に誤解しやすいポイントです。

国税庁は、会社が従業員へ支給する職場つみたてNISAの奨励金について、所得税法上の「給与等」に該当するとの取扱いを示しています。

会社が会計上「福利厚生費」など別の科目で処理していたとしても、従業員側では給与所得の対象となり、会社は他の給与等と合わせて源泉徴収を行うことになります。

一方、その後NISA口座内で対象商品を運用して得た一定の売却益や配当・分配金は、NISAの要件を満たす範囲で非課税になります。

「会社の奨励金自体がNISAだから非課税」という仕組みではありません。

企業型DCとは?会社が老後資金の掛金を拠出

企業型DCは、事業主が掛金を拠出し、従業員自身が用意された運用商品の中から商品を選んで運用する確定拠出年金です。

運用結果によって将来受け取る金額が変わります。

厚生労働省によると、企業型DCでは運営管理機関が選定・提示した原則3本以上35本以下の運用商品の中から加入者が選択します。

投資信託だけでなく、預貯金や保険など元本確保型商品が含まれる制度もあります。

2026年12月にはDCの上限額も変更予定

2026年9月10日時点では、企業型DCの拠出限度額は基本的に月額5万5,000円を基準とし、確定給付企業年金など他制度がある場合は他制度掛金相当額を差し引く仕組みです。

しかし、2026年12月1日から基準となる共通拠出限度額は月額6万2,000円へ引き上げられる予定です。

また2026年4月1日には、マッチング拠出について「従業員本人の加入者掛金は事業主掛金を超えてはいけない」という制限が撤廃されています。

企業型DCと職場つみたてNISAはどちらがいい?

目的が大きく異なるため、単純に優劣を付ける制度ではありません。

比較企業型DC職場つみたてNISA
主な目的老後資金幅広い資産形成
会社の負担事業主掛金を拠出奨励金は任意
従業員への課税事業主掛金拠出時は給与課税されない会社からの奨励金は給与所得
運用益制度内では運用時非課税NISA対象分は非課税
引き出し原則60歳まで不可売却・払出し可能
導入手続企業型年金規約・労使同意等が必要金融機関との契約、利用規約等を整備
投資教育事業主に法令上の役割がある制度理解のため教育を組み合わせることが望ましい

老後資金を重点的に準備したい企業なら企業型DC、従業員が必要に応じて換金できる資産形成を支援したい場合には職場つみたてNISAが候補になります。

両制度を併用している企業もあります。

資産形成支援はNISAと企業型DCだけではありません。特に中小企業には、国の助成を受けられる退職金制度や、会社負担を損金にできる制度があります。次のページで税金まで含めて比較します。