手形とは?仕組み・手形割引・不渡り・60日ルール・2027年の廃止までわかりやすく解説

手形割引とは?支払期日前の手形を現金化する方法

手形割引とは、受け取った手形を支払期日前に金融機関などへ譲渡し、額面金額から割引料などを差し引いた金額を受け取る資金調達方法です。

例えば100万円の手形を受け取ったものの、支払期日は60日後だとします。その60日を待てない場合、銀行などへ手形割引を申し込み、審査に通れば期日前に資金化できます。

ただし100万円がそのまま入金されるとは限りません。期日までの日数に応じた割引料や、金融機関所定の費用などが差し引かれる場合があります。

手形割引の手数料・相場はいくら?全国一律の料率はない

手形割引について「相場は年○%」と一つの数字で示すことはできません。

銀行・金融機関によって審査方法や条件が異なり、割引依頼人の信用状況、手形の振出人、額面金額、支払期日までの日数などによって適用される条件が変わるためです。

そのため、インターネット上の「手形割引の平均は○%」という数字だけを現在の自社条件として使わず、取引銀行へ実際の割引料率と諸費用を確認する必要があります。

手形割引料の基本的な計算方法

単純な計算例では、次のように考えられます。

割引料 = 手形額面 × 年率 × 支払期日までの日数 ÷ 365日

例えば、

  • 手形額面:100万円
  • 仮定する割引率:年5%
  • 残り期間:60日

の場合、

1,000,000円 × 5% × 60日 ÷ 365日 = 約8,219円

という概算になります。

したがって、他の費用が一切ないと仮定すれば受取額は約991,781円です。

ただし、これは仕組みを説明するための仮定です。実際の割引率、日数計算、取立費用などは取扱金融機関の条件によって異なります。

日本銀行の「基準割引率」と自社の手形割引料率は同じではない

日本銀行が公表している「基準割引率および基準貸付利率」と、企業が取引銀行から提示される商業手形の割引料率は同じものではありません。

2026年6月17日以降、日本銀行の基準割引率および基準貸付利率は年1.25%ですが、これをそのまま一般企業の手形割引の適用料率と考えることはできません。

手形の不渡りとは?支払期日に決済できない状態

手形の支払期日に支払いのための呈示が行われたものの、振出人側の資金不足などにより支払いが行われない場合、「不渡り」となることがあります。

会社側から見ると、支払期日に必要な資金が当座預金へ準備できていないことは重大な問題です。

1回不渡りを出したらすぐ銀行取引停止になる?

1回の不渡りだけで、全国銀行協会の制度上ただちに2年間の取引停止処分となるわけではありません。

全国銀行協会の電子交換所では、原則として6か月間に2回、手形・小切手の不払いを起こした者について、その後2年間、参加銀行との当座預金取引や貸出取引を禁止する取引停止処分制度があります。

不渡りによる影響

取引停止処分に至れば、当座預金や銀行借入れに重大な影響が生じます。

また、1回目の不渡りであっても、その後の資金繰りや取引条件について金融機関・取引先から確認を受ける可能性があります。影響は会社ごとの財務状況や取引関係によって異なるため、「1回なら問題ない」と考えることは適切ではありません。

「手形が落ちる」とは?無事に決済されたという意味

ビジネスの会話で「今日、手形が落ちる」「手形が無事落ちた」という表現が使われることがあります。

一般には、支払期日を迎えた手形が金融機関へ呈示され、振出人の当座預金などから手形代金が正常に決済されることを意味します。

例えば「100万円の手形が今日落ちる」という場合、振出人側では決済口座から100万円が支払われるという意味で使われます。

一方、必要な資金を用意できず正常に支払えなければ、不渡りとなる可能性があります。

手形の支払期日はいつ?期日の前に銀行へ持ち込む

約束手形には支払期日が記載され、手形法上、確定日払いなどの手形は支払期日またはそれに続く2取引日以内に支払いのため呈示することが定められています。

ただし、実務では受取人本人が支払銀行へ当日に直接持ち込めばよいとは限りません。取引銀行へ取立てを依頼する場合、金融機関所定の受付期限があります。

特に現在は紙の手形交換終了に向けて受付条件が変更されています。金融機関によっては他行を支払場所とする手形の預金入金受付を2026年9月30日に終了するなど、通常とは異なるスケジュールとなっています。

手元に紙の手形が残っている場合は、支払期日だけでなく、自社の取引銀行と振出銀行の最終受付日・最終振出期限も確認してください。

手形の裏書とは?受け取った手形を第三者へ譲渡する方法

手形の「裏書」とは、受け取った手形を別の人・企業へ譲渡するための手続きです。

例えば、

  • A社がB社へ100万円の手形を振り出す
  • B社はA社の手形を受け取る
  • B社がC社へ100万円の支払いをする必要がある
  • B社が受け取ったA社の手形を裏書してC社へ譲渡する

という使い方ができます。

手形法では、裏書は手形または手形と結合した補箋に記載し、裏書人が署名する必要があります。手形法上の「署名」には記名捺印も含まれます。

実務上は所定の裏書欄を使用し、譲受人や裏書人など必要事項を金融機関の様式に従って記載します。記載ミスが取立てへ影響することもあるため、実際に紙の手形を譲渡するときは取引銀行へ確認するのが安全です。

裏書したら責任も完全になくなる?

手形を裏書譲渡しても、一般に裏書人の責任まで完全になくなるとは限りません。

振出人が期日に支払わなかった場合、一定の要件のもとで現在の手形所持人から前の裏書人などへ支払いを求める「遡求」が行われることがあります。

そのため、取引先から受け取った手形を別会社へ渡せば「自社とはもう無関係」と考えることはできません。

手形の一部だけを裏書譲渡できる?

紙の手形では、額面の一部だけを通常の裏書によって分割して譲渡することはできません。

これに対して電子記録債権の「でんさい」では、条件の範囲内で債権を分割して譲渡する仕組みがあります。この点も紙の手形から電子化するメリットの一つです。

紙の商取引手形がなくなるからといって「手形貸付も全国一斉に同じ日に廃止」とは限りません。銀行によって対応時期が違うため、最後に手形貸付・印紙税・代替決済を整理します。