
日本におけるステーブルコイン規制
日本では、2023年6月にステーブルコインに関する制度が施行されました。法定通貨建てで発行され、額面どおりの払い戻しが可能なステーブルコインは、資金決済法上の「電子決済手段」として規制されます。
国内で電子決済手段を発行できる主体は、仕組みに応じて銀行、資金移動業者、信託会社などに限られます。また、電子決済手段の売買、交換、保管、移転を仲介する事業者には、原則として電子決済手段等取引業者としての登録が必要です。
さらに、2025年に成立した資金決済法改正に関連する政令・内閣府令などが、2026年6月1日に施行されました。信託型ステーブルコインの裏付け資産について、一定の要件や上限のもとで国債や中途解約可能な定期預金などを組み入れられる制度が整備されています。
制度が整ったからといって、海外のステーブルコインを自由に取り扱えるわけではありません。国内で購入・売却する場合は、金融庁に登録された事業者が取り扱っているか、利用条件がどのように定められているかを確認する必要があります。
JPYCとは?日本円と連動する電子決済手段
JPYCは、JPYC株式会社が発行する日本円建ての電子決済手段です。1JPYCを1円として発行・償還する仕組みが採用されており、資金移動業型に分類されます。
専用サービスのJPYC EXでは、本人確認などの手続きを行ったうえで、日本円からJPYCを発行し、保有するJPYCを日本円へ戻すことができます。発行・償還に関するサービス手数料は無料とされていますが、銀行振込手数料やブロックチェーンのガス代などは別途発生する場合があります。
なお、以前提供されていた「JPYC Prepaid」は前払式支払手段であり、現在の払い戻し可能なJPYCとは法的な性質が異なります。JPYC Prepaidは2025年6月1日に新規発行が終了しています。
JPYC株式会社の公表によると、現在のJPYCは2025年10月に発行を開始し、2026年7月にはオンチェーン発行残高が20億円を超えました。利用時には対応ネットワーク、送付先アドレス、ガス代、償還条件を確認することが重要です。
JPYSCとは?SBIグループが取り扱う信託型ステーブルコイン
JPYSCは、SBI新生信託銀行が発行し、SBI VCトレードが流通を担う日本円連動型ステーブルコインです。Startale Groupとの共同開発により、2026年6月24日に国内初の信託型日本円ステーブルコインとして提供が開始されました。
信託型では、利用者から受け入れた資金を信託財産として分別管理します。発行会社自身の資産とは区分して管理される点が特徴です。
SBIの公表資料では、JPYSCは資金移動業型に設けられる100万円の送金・保有に関する制約を受けない仕組みとされており、大口の企業間決済や国際的な取引への活用も想定されています。ただし、実際の利用限度額、審査、手数料、対象者などはサービス上の規定を確認する必要があります。
JPYCとJPYSCの違い
| 比較項目 | JPYC | JPYSC |
|---|---|---|
| 基準となる通貨 | 日本円 | 日本円 |
| 発行者 | JPYC株式会社 | SBI新生信託銀行 |
| 主な方式 | 資金移動業型 | 信託型 |
| 主な利用窓口 | JPYC EX | SBI VCトレード |
| 想定される用途 | 送金、決済、Web3サービスなど | 個人利用、企業間決済、大口送金など |
どちらが一律に優れているわけではありません。少額決済、企業間取引、対応するウォレット、利用したいブロックチェーン、円への戻しやすさなどを基準に選ぶ必要があります。
SBIで扱われているステーブルコイン
SBI VCトレードは、2025年3月に電子決済手段等取引業者として登録され、米ドル連動型のUSDCの一般向け取り扱いを開始しました。2026年3月18日にはUSDCの貸コインサービスも開始しています。
国内でUSDCを購入できる点は利便性がありますが、海外発行の電子決済手段には国内制度上の保有限度額や移転限度額が設定される場合があります。SBI VCトレードのUSDCでは、保有残高や売却・出庫に一定の上限があるため、最新のサービス条件を確認することが欠かせません。
貸コインで受け取る利用料は銀行預金の利息ではなく、元本保証もありません。貸出中の価格変動、サービス停止、返還遅延、税金なども考慮する必要があります。
USDTとUSDCの違い
USDTとUSDCはいずれも、1コイン=1米ドルを目標とする代表的な米ドル連動型ステーブルコインです。しかし、発行会社、準備資産、情報開示、対応ネットワーク、国内での入手方法が異なります。
| 比較項目 | USDT | USDC |
|---|---|---|
| 発行主体 | Tether | Circle |
| 連動対象 | 米ドル | 米ドル |
| 裏付け | 現金、現金同等物、米国債などの準備資産 | 現金および短期米国債を中心とする準備資産 |
| 情報開示 | 準備資産の報告書などを公表 | 準備資産の情報や第三者による証明報告を公表 |
| 日本国内での購入 | 登録事業者の取扱状況による | SBI VCトレードで円による購入が可能 |
USDTとUSDCのどちらも米ドル建てであるため、日本円換算の価値は為替相場によって変動します。1USDCが1米ドルを維持していても、円高になれば円換算額は減少し、円安になれば増加する可能性があります。
メガバンクによるステーブルコインの動き
三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行は、信託型ステーブルコインの共同発行に向けた取り組みを進めています。3行は2026年6月、共通の運営やガバナンスを検討する協議会の設立を公表しました。
計画では、2026年度中、つまり2027年3月までの実取引開始を目指しています。企業間決済や国際送金などへの利用が想定されていますが、2026年7月時点では、一般利用者向けに広く提供済みのサービスとは限りません。
ステーブルコイン関連銘柄
ステーブルコイン関連銘柄として注目されやすい国内上場企業には、実証実験、発行、流通、決済基盤などへの関与を公表している金融グループがあります。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(証券コード:8306)
- 三井住友フィナンシャルグループ(証券コード:8316)
- みずほフィナンシャルグループ(証券コード:8411)
- SBIホールディングス(証券コード:8473)
ただし、これらの企業の業績は銀行業、証券業、保険、金利動向、貸出状況、市場環境など幅広い要因で決まります。ステーブルコイン事業への参入だけを理由に株価上昇が保証されるものではありません。
ステーブルコインを実際に保有する前には、価格以外にも確認すべきリスクがあります。次ページでは、国内での買い方、崩壊リスク、DeFi運用、税金、国際送金の注意点を解説します。




