株式公開買付(TOB)とは?株価・応募方法・税金・上場廃止までわかりやすく解説

株式公開買付(TOB)が発表されると、「株価はなぜ急に上がる?」「公開買付価格で売ったほうがいい?」「応募しないと上場廃止後はどうなる?」「TOBの利益は雑所得?」「敵対的TOBと友好的TOBは何が違う?」など、短期間で多くの判断が必要になります。さらに2026年5月1日には日本の公開買付制度が大きく改正され、従来の「3分の1ルール」は原則30%へ引き下げられ、市場内取引も規制対象に含まれるようになりました。本記事では2026年9月10日時点の金融庁、経済産業省、日本取引所グループ、国税庁、会社法、証券会社等の公表情報を確認し、TOBの仕組みから応募、プレミアム、成立条件、税金、非公開化まで正確に整理します。

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この記事の目次

  • 株式公開買付(TOB)とは?
  • 2026年に変わった「30%ルール」
  • TOBが発表されると株価はどうなる?
  • TOBプレミアムの計算方法
  • 友好的TOB・敵対的TOBの違い
  • 株式公開買付への応募方法
  • TOBが成立する条件
  • TOB後に上場廃止になるとどうなる?
  • 株式非公開化で残った株主はどうなる?
  • TOBの税金・確定申告
  • 自己株式の公開買付けは税金が違う?
  • 株式公開・上場・公開会社の違い
  • 株式公開買付銘柄の確認方法

株式公開買付とは?TOBの仕組みをわかりやすく解説

株式公開買付とは、一般にTOB(Takeover Bid)と呼ばれ、買付者が「あらかじめ期間・価格・買付予定数などを公表し、株主から株式等を買い集める方法」です。

通常の株式取引では投資家同士が証券取引所で売買しますが、TOBでは公開買付者が一定の条件を提示し、その条件に応じた株主から株式を取得します。

公開買付者
「1株2,000円で、○月○日まで買います」と条件を公表

↓

対象会社の株主
TOBへ応募するか、市場で売るか、そのまま保有するかを判断

↓

公開買付け成立
条件を満たせば、応募株式を公開買付価格で買付け

TOBは企業買収だけでなく、資本関係の強化、子会社化、完全子会社化、MBOによる非公開化、自己株式取得などにも利用されます。

2026年5月からTOBルールが変更|「3分の1」から原則30%へ

2026年に株式公開買付を理解するうえで特に重要なのが、2026年5月1日に施行された金融商品取引法等の改正です。

従来、日本では一定の買付けによって買付者と特別関係者を合わせた株券等所有割合が3分の1を超える場合に公開買付けが必要となる、いわゆる「3分の1ルール」がありました。

改正後はこの基準が30%超へ引き下げられています。

さらに従来は原則として規制対象外だった取引所の立会内取引についても、30%ルールの対象に含まれるようになりました。

項目改正前2026年5月1日以降
支配権取得に関する主な基準3分の1超30%超
市場内の立会内取引3分の1ルールでは原則対象外30%ルールの対象に拡大

金融庁は、30%の議決権を持つことで多くの上場会社において株主総会の重要な意思決定に重大な影響を与え得ることや、海外でも30%を基準とする制度がみられることなどを改正の背景として説明しています。

ただし、30%を超える株式取得なら例外なく必ずTOBになる、という単純な制度ではありません。買付方法・取得量・特別関係者・適用除外などを踏まえて判断されます。

5%ルールもある

30%ルールとは別に、市場外で多数の株主から株式を買い付ける場合には、いわゆる5%ルールがあります。

代表的には、60日間に10人を超える者から市場外で買付け等を行い、買付け後の株券等所有割合が5%を超える場合などに公開買付けが必要となります。

実際の適用判断には細かな例外があります。企業や大株主が大量取得を行う場合には、弁護士等による金融商品取引法上の確認が重要です。

株式公開買付が発表されると株価はどうなる?

買収目的のTOBでは、公開買付価格が発表前の市場価格を上回るケースがあります。その場合、発表後の市場株価は公開買付価格に近づく方向へ大きく上昇することがあります。

例えば、

  • TOB発表前株価:1,500円
  • 公開買付価格:2,000円

だった場合、TOB成立への期待から市場株価も2,000円に近い水準まで上昇する可能性があります。

しかし、必ず公開買付価格と同額になるわけではありません。

TOB価格より少し安い株価で取引される理由

市場価格が公開買付価格より低い状態になる理由としては、次のようなものがあります。

  • TOBが不成立になる可能性
  • TOB終了まで資金が拘束される期間
  • 競争法上の手続など成立条件への不確実性
  • 応募しても全株が買い取られない可能性がある案件
  • 市場で今すぐ現金化できることとの違い

例えば公開買付価格2,000円に対して市場価格1,980円なら、市場で売却すればすぐ決済できます。一方、TOBへ応募する場合は公開買付期間終了や決済まで待つ必要があります。

TOB価格より株価が高くなることもある

反対に、市場株価が公開買付価格を上回る場合もあります。

例えば、別の買収者がより高い価格で対抗TOBを行うとの期待や、現在の公開買付者が買付価格を引き上げるとの期待が強まった場合です。

ただし、対抗提案や価格引上げが実際に行われる保証はありません。

株式公開買付プレミアムとは?計算方法を確認

TOBでよく使われる「プレミアム」とは、公開買付価格が基準となる市場株価をどの程度上回っているかを示す割合です。

単純な計算式は次のとおりです。

TOBプレミアム =(公開買付価格-基準株価)÷基準株価×100

例えば、TOB発表前の終値が1,500円、公開買付価格が2,000円なら、

(2,000円-1,500円)÷1,500円×100=約33.3%

となります。

プレミアムは何%が適正?法律上の固定基準はない

「TOBなら市場価格に必ず30%上乗せする」といった法定のプレミアム率はありません。

価格決定では、対象会社の市場株価、事業計画、将来キャッシュフロー、類似企業、買収による価値向上、交渉結果など複数の要素が考慮されます。

MBOなど利益相反が生じやすい取引では、第三者算定機関による株式価値算定や独立した特別委員会など、公正性を確保するための措置が採られることがあります。

経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」でも、買収で生じる価値を株主と買収者の間でどう配分するかについて、一義的な固定プレミアム基準を設定することは困難であるとの考え方が示されています。

友好的TOBと敵対的TOBの違い

一般に、対象会社の経営陣・取締役会が買収提案に賛同しているTOBを友好的TOBと呼びます。

一方、対象会社の事前同意を得ずに開始された買収や、対象会社の取締役会が反対している買収を、一般に「敵対的TOB」「同意なき買収」などと呼ぶことがあります。

比較友好的TOB敵対的・同意なきTOB
対象会社の経営陣賛同していることが一般的事前同意がない、または反対の場合がある
買収者と対象会社事前協議が行われることが多い意見が対立することがある
法的なTOB制度適用同様に適用
株主の判断最終的には各株主が応募を判断最終的には各株主が応募を判断

敵対的TOBだから違法ということではありません。金融商品取引法などのルールを守った買収提案であれば、対象会社の経営陣が賛同していないことだけを理由に違法になるわけではありません。

経済産業省の「企業買収における行動指針」では、買収について「企業価値・株主共同の利益」「株主意思」「透明性」という3つの原則が示されています。

TOB価格が市場価格より高くても、証券口座で普通に「売却」するだけではTOBへの応募になりません。さらに応募しないまま上場廃止になると、その後の手続も変わります。具体的な流れは次のページで確認しましょう。