私募とは?公募との違い・私募債・私募ファンド・私募REIT・税金までわかりやすく解説

銀行保証付私募債とは?銀行が元利金の支払いを保証

銀行保証付私募債とは、発行会社の私募債について銀行が元金・利息の支払いを保証する仕組みの商品です。

りそな銀行では、銀行保証付私募債を「私募債の元利金支払を銀行が保証する保証付きの私募債」と説明しています。金融機関によっては、銀行が社債を引き受け、発行手続から償還までの事務も行います。

銀行保証付私募債の審査基準は?誰でも発行できるわけではない

銀行保証付私募債には審査があります。三菱UFJ銀行は私募債発行について事前に同行所定の審査手続が必要と案内しています。りそな銀行も私募債の発行には所定の審査が必要としています。

信用保証協会保証付私募債の場合には、銀行だけでなく信用保証協会が定める適債基準を満たす必要があります。

「適債基準」は全国すべての銀行で同じ?

同じではありません。銀行保証付私募債では各銀行が独自の審査基準を設けています。信用保証協会保証付私募債にも所定の財務要件等があります。

審査では企業の財務内容、返済・償還能力、事業内容などが確認されますが、銀行独自の審査基準はすべて一般公開されているわけではありません。

したがって「自己資本比率が○%なら必ず発行できる」と一律に判断することはできません。

私募債の金利は何%?全国共通の相場はない

私募債には全国一律の金利がありません。適用される利率は、

  • 発行会社の信用力
  • 発行金額
  • 償還期間
  • 銀行保証・信用保証協会保証の有無
  • 償還方法
  • 市場金利
  • 取扱金融機関の条件

などによって変わります。

現在の銀行保証付私募債でも、個別発行企業のニュースリリースでは「5年」「発行額5,000万円」などは公表されても、実際の適用金利は非公表となっているケースが多くあります。

「私募債金利の平均は○%」という数字だけで銀行借入と比較するのは適切ではありません。利用予定の金融機関から実際の条件提示を受けて比較する必要があります。

私募債の発行手数料はいくら?「相場」だけでは計算できない

私募債では利息のほか、商品によって複数の発行関連費用が生じます。

  • 銀行保証料
  • 信用保証協会の保証料
  • 財務代理人手数料
  • 発行代理人・支払代理人関係の費用
  • 引受関係手数料
  • 社債発行事務に伴う費用

これらには全国一律の法定料金がありません。発行額や発行期間、保証方式、金融機関との取引条件などで変わるため、実際には金融機関から見積もりを取得する必要があります。

金融機関が「発行手数料の一部を寄付する」私募債を提供している例もありますが、その寄付割合を私募債の総手数料率と誤解しないよう注意してください。

金利だけでなく総調達コストを計算する

例えば5,000万円を5年間調達するとき、銀行借入より私募債の表面金利が低くても、保証料や発行費用を加えると総コストが逆転する可能性があります。

比較するときは次のように考えると分かりやすくなります。

実質的な資金調達コスト = 支払利息 + 保証料 + 発行関連費用 + その他必要費用

さらに、満期一括償還か定時償還かによって資金繰りも変わります。

私募債と「ほふり」の関係は?

「ほふり」とは株式会社証券保管振替機構の通称です。証券保管振替機構は、社債、株式等の振替に関する法律に基づく振替機関として、株式や社債などの電子的な振替・決済インフラを運営しています。

一般債振替制度では紙の社債券を発行せず、振替口座簿への電子記録によって社債の権利を管理できます。

すべての私募債が必ず「ほふり」を使う?

必ずではありません。私募債にもさまざまな発行形態があります。

一方、銀行が取り扱う私募債では一般債振替制度を利用するものがあります。三菱UFJ銀行も、証券保管振替機構の業務規程に基づき、私募債について銀行が「発行代理人」「支払代理人」を担う仕組みを案内しています。

私募ファンドとは?限定された投資家から資金を集めるファンド

私募ファンドとは、広く一般向けに公募するのではなく、限定された投資家から資金を集めて運用するファンドの総称です。

投資対象は、不動産、未上場株式、企業向け融資、インフラ、有価証券などさまざまです。

また、株式会社型、投資法人、匿名組合、投資事業有限責任組合など、法的な器も異なります。そのため「私募ファンド」という名前だけでは、税金や投資リスク、投資資格を判断できません。

私募ファンドは誰でも投資できる?資格・条件を確認

私募だから必ず富裕層しか買えない、という制度ではありません。私募の方法とファンドの法的形態によって対象投資家が異なります。

例えば金融庁が案内する「適格機関投資家等特例業務」では、1人以上の適格機関投資家と、49人以下の一定の投資家等を対象として私募・運用を行う場合に、一定の届出によって金融商品取引業の登録義務の特例を利用できます。

ただし、これはすべての私募ファンドに共通する投資資格ではありません。一般の少人数私募、特定投資家向け、適格機関投資家向けなどで要件は異なります。

「49人以下なら一般個人にも自由に販売できる」は誤解

ファンド持分の販売・勧誘や自己運用は、金融商品取引法上の登録・届出規制の対象となる場合があります。

金融庁は、集団投資スキーム持分の自己募集について第二種金融商品取引業、出資財産を主として有価証券等で自己運用する場合について投資運用業の登録が必要になることを案内しています。適格機関投資家等特例業務など一定の例外もあります。

金融庁への届出を行っていること自体も、ファンドの安全性や将来の利益を金融庁が保証するものではありません。

私募ファンドの主なリスク

  • 元本保証ではない
  • 投資対象資産の価格が下落する可能性がある
  • ファンドによって借入れを利用し、損益が拡大する場合がある
  • 途中解約・持分譲渡が制限される場合がある
  • 公募商品より情報開示が限定される場合がある
  • 運用期間が長く、途中で資金を引き出せない場合がある
  • 運用会社・営業者等に関する信用リスクがある

高い予定利回りが提示されていても、それだけで優良な投資商品とは判断できません。高いリターン目標には、それに対応する価格変動・信用・流動性などのリスクが存在することを確認しましょう。

私募REITとは?上場していない不動産投資法人

不動産証券化協会(ARES)では、私募REITを一般に非上場オープンエンド型不動産投資法人を指す言葉として説明しています。

投資家から集めた資金や借入金などを利用して不動産・不動産信託受益権等を保有し、賃料収入などを基礎に運用する点では上場J-REITと共通する部分があります。

私募REITとJ-REITを比較

比較項目私募REITJ-REIT
上場非上場証券取引所へ上場
主な投資家金融機関・年金など機関投資家中心個人を含む幅広い投資家
価格保有不動産の評価などを基礎とする基準価額市場で日々売買価格が形成される
換金払戻し・譲渡に一定の制約取引所で売買可能
運用期間一般に期限を定めないオープンエンド型原則として継続運用

ARESによると、私募REITは上場J-REITより証券市場の価格変動の影響を受けにくい一方、投資口の払戻し・譲渡には一定の制約があります。

つまり「値動きが小さく見える=リスクがない」という意味ではありません。不動産価格、賃料、空室、金利、災害、借入条件などの影響を受けます。

2026年の私募REIT市場

不動産証券化協会は2026年7月31日に、2026年6月末基準の「私募リート・クォータリー」を公表しています。2026年6月末時点では61投資法人、資産総額は取得価格ベースで約8兆665億円とされており、私募REITは機関投資家向け不動産投資市場として一定の規模に拡大しています。

「私募債を発行すれば節税できる」「私募ファンドなら税金を抑えられる」と一括りに考えるのは危険です。商品ごとにまったく違う税務ルールを最後のページで整理します。