
株式公開買付への応募方法|普通の株式売却とは手続が違う
TOBに応募する場合は、通常、公開買付者が指定する公開買付代理人である証券会社を通して手続きを行います。
一般的な流れは次のとおりです。
- 公開買付価格・期間・買付予定数を確認する
- 対象会社が公表した賛否・意見表明を確認する
- 公開買付代理人となっている証券会社を確認する
- 必要であれば公開買付代理人に証券口座を開設する
- 他社で保有している株式を公開買付代理人へ移管する
- 公開買付期間内に応募手続きをする
- TOB成立後、決済日に売却代金を受け取る
オンラインで応募できる案件もあれば、書類手続が必要な案件もあります。
保有している証券会社と公開買付代理人が違う場合には株式移管に日数が必要なことがあるため、公開買付期間の最終日に準備を始めるのは避けたほうがよいでしょう。
市場で売ればTOBへ応募したことになる?
なりません。
証券取引所で通常の売却注文を出した場合は、その時点の市場価格による市場取引です。
公開買付価格での売却を希望する場合は、原則として公開買付代理人を通じてTOBへの応募手続をする必要があります。
TOBへ応募するか市場で売るか、何を比較する?
例えば、
- 公開買付価格:2,000円
- 現在の市場価格:1,990円
の場合、TOBへ応募すれば成立時に2,000円で売却できる可能性がありますが、決済まで待つ必要があります。
市場で1,990円で売却すれば10円安いものの、通常の取引として早く現金化できます。
判断するときは、
- 公開買付価格と市場価格の差
- 公開買付期間
- 成立条件
- 買付予定数の上限・下限
- TOB不成立リスク
- 市場売却・TOB応募それぞれの手数料
- 税務上の取扱い
を比較する必要があります。
株式公開買付の期間は何日?
金融商品取引法上の公開買付期間は、原則として20営業日以上60営業日以内の範囲で設定されます。
案件によっては公開買付期間が延長される場合もあります。
株主が確認すべきなのはニュース記事の日付ではなく、公開買付届出書等に記載された正式な公開買付開始日・終了日です。
株式公開買付による買収が成立する条件とは?
TOBを開始しただけでは買収成立とは限りません。
公開買付者は案件ごとに「買付予定数の下限」を設定する場合があります。
例えば1,000万株以上の応募を成立条件としているTOBで、応募が800万株しかなければ、条件に従って応募株式を一切買い付けずTOBが不成立となることがあります。
反対に、必要な応募数を確保すれば公開買付けが成立します。
買付予定数に上限がある場合
TOBには、応募された全株式を取得する案件だけでなく、取得する株数に上限を設定する案件もあります。
応募総数が買付上限を超えた場合には、法令・公開買付条件に従って比例配分などが行われ、応募した株式すべてを売却できない場合があります。
特に「上場を維持したまま持株比率だけ引き上げるTOB」と「完全子会社化を目的とするTOB」では条件が大きく異なるため、買付予定数を確認しましょう。
TOBが成立しないこともある?
あります。
2026年にも実際に、公開買付けが成立せず、その後、東京証券取引所による監理銘柄指定が解除された事例があります。
つまり「TOBが発表された=買収も上場廃止も確定」というわけではありません。
TOB期待によって株価が上昇していた場合、不成立後に株価が大きく変動する可能性もあるため、成立条件を確認することが重要です。
TOB成立後は必ず上場廃止になる?
必ずではありません。
TOBの目的が一定割合の株式取得だけであれば、TOB成立後も上場を維持する場合があります。
一方、買収者が対象会社を完全子会社化・非公開化する目的で全株式の取得を目指すTOBでは、成立後にスクイーズアウトなどを行い、最終的に上場廃止となるケースがあります。
株式非公開化で株主はどうなる?
上場廃止を前提とするTOBで応募しなかった場合でも、通常、株式がある日突然無価値になって消えるわけではありません。
日本取引所グループは、TOBに応募せず、その後上場廃止となったケースについて、一般的にはスクイーズアウト手続の一環として発行会社から現金で保有株式を買い取ってもらうケースが多いと説明しています。
代表的な手続の一つが株式併合です。
株式併合を使ったスクイーズアウトのイメージ
例えば、少数株主が100株ずつ持っている会社で極端に大きな比率の株式併合を行い、少数株主の保有分が1株未満の端数になるようにします。
その端数株式を法律上の手続に従って処分し、株主には端数に応じた金銭を交付します。
これによって買収者以外の少数株主を現金化し、完全子会社化・非公開化する方法があります。
実際に東京証券取引所では2026年にも、TOB成立後に株式併合を予定している企業について、上場廃止となる可能性があるとして監理銘柄に指定する事例が複数あります。
TOBへ応募しなくても公開買付価格と同じ金額を必ず受け取れる?
多くの完全子会社化案件では、二段階目のスクイーズアウトでもTOB応募株主と経済的に同等になるような価格を予定していることが開示されています。
ただし、具体的な価格・時期・税務処理は案件ごとの手続によって確認する必要があります。
「応募しなくても必ず同じ日・同じ手続で同じ金額を受け取れる」という意味ではありません。
上場廃止になる前に何を確認すればいい?
対象銘柄が監理銘柄・整理銘柄に指定された場合は、次の情報を優先して確認します。
- 対象会社のTOBに対する意見
- 公開買付価格
- 公開買付期間
- 買付予定数の下限・上限
- 上場廃止を予定しているか
- TOB後に株式併合等を予定しているか
- 少数株主への金銭交付方法
- 税務上の取扱い
東京証券取引所も、TOB後の株式の取扱いについては、対象会社が公表する意見表明やその後の適時開示を確認するよう案内しています。
株式公開買付銘柄はどこで確認できる?
現在進行中の株式公開買付銘柄は常に変化します。そのため、過去の記事に掲載された銘柄一覧だけを利用するのは適切ではありません。
正式な情報を確認する主な方法は、
- 金融庁のEDINETで公開買付届出書を確認する
- 対象会社の適時開示・IR情報を見る
- 日本取引所グループの監理・整理銘柄情報を確認する
- 公開買付代理人となる証券会社のTOB取扱銘柄を確認する
ことです。
2026年9月時点のTOB取扱銘柄の例
例えば野村證券が2026年9月3日時点で公表していた公開買付代理人としての取扱銘柄には、公開買付期間が9月10日時点でも継続しているものとして、次のような例があります。
- イーソル:公開買付価格820円、2026年9月2日~10月19日
- ボードルア:公開買付価格2,970円、2026年8月19日~10月5日
- CEホールディングス:公開買付価格1,650円、2026年8月6日~9月17日
これは野村證券が代理人として取り扱う案件の一例であり、日本国内で行われているTOBすべての一覧ではありません。最新情報はEDINETや各社の公表資料で確認してください。
通常のTOB利益を「雑所得」として申告するのは原則として正しくありません。さらに、買収会社へ売るTOBと「自社が自社株を買うTOB」では税金の仕組みまで変わることがあります。最後に最も間違いやすい税務を整理します。




