
スタンダード市場は、東京証券取引所が運営する3つの一般向け株式市場のうち、一定の事業実績、流動性、ガバナンス体制を備えた企業が上場する市場です。「プライム市場より格下なのか」「上場基準の時価総額10億円とは何を指すのか」「経過措置終了後に上場廃止が増えるのか」など、制度を正確に理解するには複数の基準を分けて考える必要があります。本記事では、2026年時点の上場基準、企業数、指数、ETF、市場改革、PBR1倍割れへの対応まで整理します。

この記事の目次
- スタンダード市場の特徴と企業数
- プライム市場・グロース市場との違い
- 2026年時点の新規上場基準と上場維持基準
- 経過措置終了後の上場廃止ルール
- 代表的な銘柄、指数、ETF
- 資本コスト開示とPBR1倍割れへの対応
- スタンダード市場のメリットと注意点
スタンダード市場とは?まず知っておきたい基本
2022年4月に始まった東京証券取引所の市場区分
スタンダード市場は、東京証券取引所が2022年4月4日に開始した市場区分です。従来の市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQという区分を見直し、現在は主に次の3市場に分けられています。
- プライム市場:グローバルな投資家との対話を重視し、高い流動性やガバナンス水準を備える企業向け
- スタンダード市場:一定の流動性と基本的なガバナンス水準を備え、中長期的な企業価値向上を目指す企業向け
- グロース市場:高い成長可能性がある一方、事業実績の面では相対的にリスクが高い企業向け
スタンダード市場の公式な英語表記はStandard Marketです。正式に表現する場合は「Tokyo Stock Exchange Standard Market」などと記載されます。
「標準的な企業だけが集まる市場」という意味ではありません。長年事業を続けてきた地域企業、製造業、小売業、情報通信企業、金融関連企業など、規模や業種の異なる企業が幅広く上場しています。
スタンダード市場の企業数は何社?
日本取引所グループの公表値によると、2026年7月22日時点のスタンダード市場上場会社数は1,564社です。うち外国会社は2社となっています。
ただし、企業数は新規上場、市場区分の変更、合併、完全子会社化、上場廃止などによって変動します。企業一覧を確認するときは、東京証券取引所の「東証上場会社情報サービス」や最新の上場会社一覧を利用することが重要です。
スタンダード市場とプライム市場・グロース市場の違い
| 市場区分 | 主な位置付け | 企業の特徴 |
|---|---|---|
| プライム市場 | 国内外の機関投資家の投資対象となる市場 | 高い流動性、時価総額、ガバナンス水準が求められる |
| スタンダード市場 | 公開市場の投資対象として一定の水準を備えた市場 | 事業実績と安定的な収益基盤を持つ企業が中心 |
| グロース市場 | 高い成長可能性を持つ企業向けの市場 | 成長期待が高い一方、業績や株価の変動リスクも相対的に高い |
プライム市場との主な違い
プライム市場は、株主数、流通株式数、流通株式時価総額、流通株式比率などで、スタンダード市場より高い水準が設定されています。
例えば、上場維持基準における流通株式時価総額は、プライム市場が100億円以上、スタンダード市場が10億円以上です。流通株式比率も、プライム市場は35%以上、スタンダード市場は25%以上となっています。
ただし、プライム市場からスタンダード市場へ移った企業が、直ちに経営不振や信用低下に陥ったことを意味するわけではありません。企業が自社の株主構成、事業規模、上場維持コストなどを考慮し、スタンダード市場を選ぶ場合もあります。
グロース市場との主な違い
スタンダード市場では、新規上場時に最近1年間の利益が1億円以上であることなど、事業実績に関する基準が設けられています。
一方、グロース市場は将来の高い成長可能性を重視するため、上場時点で利益が出ていない企業でも、事業計画や成長可能性が適切に説明されれば上場できる場合があります。スタンダード市場は、グロース市場よりも安定性を重視した市場と整理できます。
特に誤解されやすいのが「時価総額10億円」の意味です。会社全体の時価総額ではなく、売買可能な株式だけで判定される重要な基準を次のページで解説します。




